自家用車による通勤途上の事故につき、業務上災害にあたるとした原判決が棄却された例 最高裁判所 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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自家用車による通勤途上の事故につき、業務上災害にあたるとした原判決が棄却された例

 

最高裁判所第3小法廷判決/昭和57年(行ツ)第182号

昭和59年5月29日

遺族補償費等不支給処分取消請求上告事件

【判示事項】    自家用車による通勤途上の事故につき、業務上災害にあたるとした原判決が棄却された例

【判決要旨】    労働者が自己所有の自動車による自宅から工事現場への通勤の途上、衝突事故による災害を被つた場合に、他の公的交通機関を利用することが可能であり、右自動車の利用が特に必要でやむをえないものであつたとはいえないなど判示のような事実関係の下においては、右の形態の通勤をすることにつき事業主の意向が強く働いており、それが通勤時間及び道具類の運搬等の関係で便利であつたとしても、労働者が通勤途上においてもなお事業主の支配下に置かれていたと認めるべき特段の事情があるとはいえず、右災害は、労働者災害補償保険法(昭和48年法律第85号による政正前のもの)1条、12条2項にいう「業務上の事由」によるものとはいえない。

【参照条文】    労働者災害補償保険法(昭和48年法律第85号による改正前のもの)1

          労働者災害補償保険法(昭和48年法律第85号による改正前のもの)12-2

          労働基準法79

          労働基準法80

【掲載誌】     訟務月報30巻12号2627頁

          最高裁判所裁判集民事142号183頁

          労働判例431号52頁