会社の役員らと共謀の上、損失を抱えた金融商品を簿外処理するなどして連結純資産額を過大計上した連結貸借対照表を掲載した、重要事項に虚偽のある有価証券報告書を提出したとして、証券取引法違反、金融商品取引法違反の共同正犯として起訴された被告人について、訴因変更手続を経ることなく幇助犯と認定した一審判決が維持された事例
東京高等裁判所判決/平成27年(う)第367号
平成28年2月17日
証券取引法違反,金融商品取引法違反(認定 証券取引法違反幇助,金融商品取引法違反幇助)被告事件
【判示事項】 1 刑訴法335条1項にいう有罪判決に示すべき「罪となるべき事実」とは、刑罰法令各本条の構成要件に該当する具体的事実をいい、判決書の「罪となるべき事実」等とそれ以外の部分の記載と相まって必要十分な事実が明らかになっていれば足りるとされた事例
2 会社の役員らと共謀の上、損失を抱えた金融商品を簿外処理するなどして連結純資産額を過大計上した連結貸借対照表を掲載した、重要事項に虚偽のある有価証券報告書を提出したとして、証券取引法違反、金融商品取引法違反の共同正犯として起訴された被告人について、訴因変更手続を経ることなく幇助犯と認定した一審判決が維持された事例
【参照条文】 刑事訴訟法335-1
刑事訴訟法312
刑法60
刑法62-1
刑法65-1
証券取引法(平成18年法律第65号による改正前)24-1
証券取引法(平成18年法律第65号による改正前)197-1
証券取引法(平成18年法律第65号による改正前)207-1
金融商品取引法24-1
金融商品取引法197-1
金融商品取引法207-1
金融商品取引法(平成20年法律第65号による改正前)24-1
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【解説】
〔審級関係〕 原審:L06930702/東京地方裁判所判決/平成26年12月8日
上告(平成28年2月26日):平成28年(あ)第482号
1 事案の概要
本判決は、証券会社の取締役であった被告人が、光学器械の製造販売等を業とする会社の代表取締役社長、取締役常務執行役員等と共謀の上、同社の業務及び財産に関し、各会計年度について、損失を抱えていた金融商品を簿外処理し、あるいは架空ののれん代を計上するなどの方法により、過大な純資産額を記載した連結貸借対照表を掲載した、重要事項に虚偽の記載のある有価証券報告書を、関東財務局長に提出したとする証券取引法違反、金融商品取引法違反の事案について、幇助犯と認定した一審判決を是認したものである。