控訴審の職権調査義務 最高裁判所第3小法廷決定 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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控訴審の職権調査義務

 

最高裁判所第3小法廷決定/昭和45年(あ)第450号

昭和47年1月18日

税理士法違反、詐欺被告事件

【判示事項】    控訴審の職権調査義務

【判決要旨】    第一審判決の理由不備が、なんら特段の調査をするまでもなく、判決を一読すればただちに発見しうるところであるときには、控訴審は、当然職権をもつて同判決を破棄しなければならない。

【参照条文】    刑事訴訟法378

          刑事訴訟法392

          刑事訴訟法397

【掲載誌】     最高裁判所裁判集刑事183号1頁

          判例タイムズ272号297頁

【解説】

 刑訴法392条2項は任意的職権調査の規定である(昭和25年5月18日1小決、刑集4巻5号826頁等)が、例外的に、簡単に調査できる明白な一審判決の瑕疵については、控訴審が職権調査義務を負う場合もあるとする見解が有力なようである(注)。

 本決定は、一審判決の瑕疵が、罪となるべき事実に引用されている別表の脱落であつて、いわゆる絶対的控訴理由(理由不備)にあたるのみならず、判決を一読すればただちに発見しうるはずのものであつたところから、この点に触れるところのなかつた原審の措置を違法としたものである。

控訴審の職権調査義務違背が認められた事例として紹介する。