公職選挙法143条1項5号のポスターを組み合わせて掲示した場合、同法144条3項に違反するか
大阪高等裁判所判決/昭和43年(う)第322号
昭和43年11月11日
公職選挙法違反被告事件
【判示事項】 公職選挙法143条1項5号のポスターを組み合わせて掲示した場合同法144条3項
【判決要旨】 公職選挙法143条1項5号のポスターとして独立の効用を有する規格内のポスターであつても、これを2枚以上組合せあるいは独立の効用を有しないポスターと組合せることによつて、全体としてそれを組成する各ポスターとは別個の新たな意味内容を表現するに至る場合に、その組合せたポスターが全体として同法144条3項の規格を超えるときは、同項違反となる。
【参照条文】 公職選挙法143-1
公職選挙法144
公職選挙法243
【掲載誌】 高等裁判所刑事判例集21巻5号454頁
判例タイムズ234号190頁
判例時報556号83頁
【解説】
本件は、2枚の選挙運動用ポスターを組み合わせて掲示したため全体として別個の新たな意味内容を表現するに至つた場合につき、その全体が公職選挙法144条3項の規制(タブロイド型を超えてはならない)の対象となるのか、各ポスターごとに同条違反の有無を判断すれば足るのかが争われた事案である。
原判決は、本件の2枚のポスターはいずれもそれぞれ独立の効用を有し、法143条1項5号のポスターに該当すると認定したうえ、そうである以上にそれが2枚以上組み合わされて掲示され全体として1枚1枚のポスターと異つた意味内容を表現した場合であつても、各ポスターごとに法144条3項違反の有無を問題とすれば足り、全体として右規制の対象とすることは許されないとした(伊丹簡判昭和42・11・20下刑集9・11・1382) それに対して本判決は、たとえ1枚1枚のポスターが独立の効用を有する規格内のポスターであつても、それを2枚以上組み合わせ、あるいは他の独立の効用を有しないポスターと組み合わせて掲示することにより全体として各ポスターとは別個の意味内容を表現するに至る場合には、全体としてのポスターが法144条3項の規制の対象となるとして、原判決と異なる見解をとつた。
そして、(イ)2枚のうちの1枚については、左側半分の顔写真、氏名、経歴、「4選阻止」の文字、掲示責任者及び印刷者の氏名住所の記載しかなく、文面からは「何の選挙」のポスターか特定されないこと、従つて同時に並行して行なわれていた他の選挙の候補者のポスターとまぎらわしいこと等を理由に、それ自体として独立の効用を有する5号ポスターとは認められないとし、(ロ)2枚を横に並べると、双方の顔写真がつながつて、候補者の正面に向つた顔全体の写真ができあがること、「4選阻止」と「市長候補」がつながつて「4選阻止市長候補」という文言ができあがること等を理由として、2枚組み合わされると全体として各ポスターとは別個独立の新しい意味内容を有するに至ると認められるとして、2枚のポスターに対して法144条3項違反の成立を認めた。