信販会社との間で締結した立替払契約の契約書に商人でないのに商人と記載した者であっても販売業者の商品未納をもって信販会社に対する支払停止の抗弁が認められた事例
東京地方裁判所判決/平成9年(ワ)第3239号、平成9年(ワ)第11348号
平成10年1月26日
立替金請求事件、立替金請求事件
【判示事項】 信販会社との間で締結した立替払契約の契約書に商人でないのに商人と記載した者であっても販売業者の商品未納をもって信販会社に対する支払停止の抗弁が認められた事例
【判決要旨】 販売業者から化粧品を購入するにあたり信販会社との間で化粧品代金の立替払契約を締結した購入者が立替払契約書に職業を美容業と記載した場合において、これが信販会社が立替払契約を締結するにあたり重要な要素といえないときには、禁反言又は信義則上契約書の記載に反する主張ができないとはいえず、販売業者から化粧品の納入がないことをもって信販会社に対して支払停止の抗弁が認められる。
【参照条文】 割賦販売法30の4-4
民法1-2
民法1-3
【掲載誌】 金融・商事判例1048号40頁
【解説】
1 X(信販会社)は、Yら(いずれも美容業を営む商人。ただし、Yについては争いあり)がAから購入した化粧品代の立替払契約を締結した。ところが、Aが商品を納人しないまま倒産したことを理由として、Yらは立替金の支払を拒んでいるので、Xが、Yらに対して、立替金請求をしたのが、本件訴訟である。
Yらは抗弁として、(1)XはAの経営悪化の見過しという加盟店調査義務違反により立替払を実行したもので、その請求は棄却されるべき(少なくとも過失相殺がされるべき)である、(2)Yらは0細な商人であるから、YらがAに対抗できる抗弁についてはXに主張できるところ、本件立替払契約はAの詐欺又はYらの錯誤により締結されたもので無効である、(3)Xの本件請求は信義則違反・権利濫用である、(4)Y4の化粧品購入は商行為として行ったものでなく、Aから商品引渡がないので波払を拒否することができる、(5)Y3の商品購入のうち100万円分に
ついては商行為として行ったものでなく、Aから商品引渡がないので支払を拒否することができる旨主張した。これに対して、Xは、(4)に対する再抗弁として、Y4は本件立替払契約書に美容業と記載したものであるから、禁反言又は信義則からXに対して商人でないことを主張できない旨反論した。
2 本判決は、要旨次のとおり判示して、XのY1ないしY3の請求は認容し、Y6に対する請求も一部認容したが、Y4に対する請求は棄却した。
すなわち、本判決は、(1)Xに法的義務としての加盟店調査義務を認められるか疑問であるし、右義務違反とYらの被害との間の因果関係も認められない、(2)購入者にとって商品の購入が商行為となる場合には、購入者は販売業者に対する事由を信販会社に主張できないから、本件立替金の望を歪できない(Y1ないしY、Yの一部)、(3)本件請求が信義則違反・権利濫用であるともいえない、(4)Y4は美容業を営んでいた者ではなく商人ではなく、美容研究会に使用するための化粧品購入であるから商行為ともいえないところ、Y4は本件立替払契約書に美容業と虚偽の記載したことはXがY4との間で立替払契約を締結する上で重要な要素となってはいないので、禁反言又は信義則からXに対して商人でないことを主張できないとはいえず、商品の引渡がないものについては立替金の支払を拒むことができる、(5)Y5の商品購人のうち100万円分については個人用の購入であり商行為とはいえないから、右部分については立替金の支払を拒むことができる旨判示したのである。