会社が職制等を通じて特定政党の党員又はその同調者である従業員を監視し独立させるなどした行為が人格 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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会社が職制等を通じて特定政党の党員又はその同調者である従業員を監視し独立させるなどした行為が人格的利益を侵害する不法行為に当たるとされた事例

 

最高裁判所第3小法廷判決/平成4年(オ)第10号

平成7年9月5日

関西電力事件

損害賠償請求事件

【判示事項】    会社が職制等を通じて特定政党の党員又はその同調者である従業員を監視し独立させるなどした行為が人格的利益を侵害する不法行為に当たるとされた事例

【判決要旨】    会社が、特定の従業員につき、同人らにおいて現実に企業秩序を破壊し混乱させるおそれがあるとは認められないにもかかわらず、特定政党の党員又はその同調者であることのみを理由として、職制等を通じて、職場の内外で継続的に監視する態勢を採った上、極左分子であるなどとその思想を非難して同人らとの接触、交際をしないよう他の従業員に働き掛け、同人らを職場で孤立させ、その過程の中で、退社後尾行したり、ロッカーを無断で開けて私物の手帳を写真に撮影したりしたなど判示の事実関係の下においては、右一連の行為は、職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害するとともに、その名誉を毀損し、プライバシーを侵害するものであって、人格的利益を侵害する不法行為に当たる。

【参照条文】    民法709

          民法710

          労働基準法3

          憲法19

【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事176号563頁

          裁判所時報1154号255頁

          判例タイムズ891号77頁

          判例時報1546号115頁

          労働判例680号28頁