Xを船舶所有者、Yを傭船者とする定期傭船契約がYの再生手続の開始後に民事再生法49条1項により解除され、船舶に残存するY所有の燃料とともに船舶が返船された場合において、Xによる再生手続開始後の定期傭船料に係る共益債権の行使に対し、Yによる残存燃料の価額相当額の不当利得返還請求権または残存燃料代請求権を自働債権とする相殺の主張が認められなかった事例
東京高等裁判所判決/平成30年(ネ)第3037号
平成31年1月16日
民事再生債権・共益債権請求控訴事件
【判示事項】 Xを船舶所有者、Yを傭船者とする定期傭船契約がYの再生手続の開始後に民事再生法49条1項により解除され、船舶に残存するY所有の燃料とともに船舶が返船された場合において、Xによる再生手続開始後の定期傭船料に係る共益債権の行使に対し、Yによる残存燃料の価額相当額の不当利得返還請求権または残存燃料代請求権を自働債権とする相殺の主張が認められなかった事例
【判決要旨】 Xを船舶所有者、Yを傭船者とする定期傭船契約がYの再生手続の開始後に民事再生法49条1項により解除され、船舶に残存するY所有の燃料とともに船舶が返船された場合において、Xによる再生手続開始後の定期傭船料に係る共益債権の行使に対し、Yが相殺の自働債権として主張する残存燃料の価額相当額の不当利得返還請求権の成立については、準拠法である英国法上、その成立要件を満たすものとは認められず、残存燃料代請求権の成立については、準拠法のいかんにかかわらず残存燃料の買取りに関する国際海運取引上の慣習を認めることができないから、この慣習に基づく残存燃料の買取合意の成立および残存燃料代請求権の発生も認められず、Yの相殺の主張は認められない。
【参照条文】 民法505
民法703
商法704
民事再生法49
民事再生法119
法の適用に関する通則法14
法の適用に関する通則法15
【掲載誌】 判例時報2433号70頁
金融法務事情2122号66頁