原告Xが公益通報を行ったことが,内容虚偽であることを知りながら殊更通報に及んだものとは直ちに認めがたく,内部通報にとどまること等から,就業規則の懲戒解雇事由に該当するとはいえないとされた例
東京地方裁判所判決/平成24年(ワ)第12908号、平成25年(ワ)第32537号
平成27年1月23日
日本ボクシングコミッション事件
地位確認等本訴請求事件、損害賠償等反訴請求事件
【判示事項】 1 被告Y法人の就業規則が懲戒処分として最も重い懲戒解雇事由に定める職務怠慢や素行不良,無許可の物品持出しや使用者に対する加害行為について,懲戒の事由があるというためには,積極的な懈怠や情状の悪いことが顕著であることを要するとされた例
2 原告Xが公益通報を行ったことが,内容虚偽であることを知りながら殊更通報に及んだものとは直ちに認めがたく,内部通報にとどまること等から,就業規則の懲戒解雇事由に該当するとはいえないとされた例
3 懲戒解雇は懲戒処分のうち最も過酷な処分であることにも照らすと,その処分を行うに当たっては,特段の支障がない限り,事前に弁解の機会を与えることが必要というべきであり,かかる支障も認められないのに,事前の弁解の機会を経ないまま懲戒解雇を行うことは懲戒手続きにおける手続的正義に反するものとして社会的相当性を欠き,懲戒権の濫用となるとされた例
4 Xらが別団体を設立しようとしたこと等は,全体として就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとは認められないとされた例
5 Y法人は,第2次解雇の解雇事由には特段掲げていなかった,第1次解雇の解雇事由を第2次解雇で顧慮することができると主張したが,これを顧慮することはできないとされた例
6 単に訴訟手続きで関連主張が被解雇者であるXから示されたというだけでは,事前の弁解を経ることのできなかった特段の支障としては不十分であるとされた例
7 賞与に関するY法人の賃金規定14条は,支給条件を具体的に規定するものではないこと等から,Xの賞与請求は肯認できないとされた例
8 Xらが別団体の設立の検討作業を業務時間にしていたことについて問題があるという余地はあるが,その頻度はおよそ債務不履行を構成するとまではいいがたく,かつ,これによる損害の発生を認めるべき証拠もないとされた例
9 Y法人による損害賠償の反訴請求がいずれも否定された例
【掲載誌】 労働判例1117号50頁