組合員が遺失したノートにつき、拾得物として提出を受けた使用者が遺失物法に基づく警察署長への届出前 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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組合員が遺失したノートにつき、拾得物として提出を受けた使用者が遺失物法に基づく警察署長への届出前に一定基間保管し、特段の事情がある場合を除き、遺失者特定のため一定の限度で調査することは、占有者として許される行為であるとされた例

 

大阪地方裁判所判決/平成14年(ワ)第6557号

平成16年9月29日

JR東海大阪第一車両基地事件

団結権侵害による損害賠償請求

【判示事項】    (1)組合員が遺失したノートにつき、拾得物として提出を受けた使用者が遺失物法に基づく警察署長への届出前に一定基間保管し、特段の事情がある場合を除き、遺失者特定のため一定の限度で調査することは、占有者として許される行為であるとされた例

          (2)上記ノートの内容に、違法な業務阻害行為を組合が指示している可能性を示す記載が発見された以上、使用者が是を証拠化し、事後の調査のために保管することは許されるとされた例

          (3)上記のノートのうち、組合員個人のプライバシーに関する部分について写しを作成し、支社に届け出た上司個人と使用者に慰謝料等35万円の支払いが命じられた例

          (4)上記ノートの記載内容に基づいてなされた組合の怠業行為に関する組合員への事情聴取につき、正当な目的でなされたものであり、聴取過程において不当な言動もなかったとして、組合からの不当労働行為(支配介入)を理由とする損害賠償請求が棄却された例

【掲載誌】     労働判例884号38頁

          労働経済判例速報1892号14頁