法令違反の事実誤認の主張では,刑事訴訟法405条の上告理由に当たらず,同条411条を適用すべきも | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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法令違反の事実誤認の主張では,刑事訴訟法405条の上告理由に当たらず,同条411条を適用すべきものとは認められないとした事例

 

最高裁判所第2小法廷決定/昭和31年(あ)第4036号

昭和34年7月3日

覚せい剤取締法違反

【判示事項】    法令違反の事実誤認の主張では,刑事訴訟法405条の上告理由に当たらず,同条411条を適用すべきものとは認められないとした事例

【判決要旨】    1 甲、乙間に覚せい剤売買に関する合意が成立し、甲が乙の面前において、情を知らない丙に合札を渡し、荷物預り所に預けてある覚せい剤の受取方を委託し、丙がこれを承諾し、甲または乙に交付するつもりで右覚せい剤を受け取つたときは、乙はその覚せい剤譲受の実行に着手したものと認めることができる。

2 「被告人は法定の除外事由がないのに、昭和29年10月27日金沢市a町b番地被告人居宅において、覚せい剤2CC入りアンプル6、000本を所持していたものである。」旨の訴因に対し、「被告人は法定の除外理由がないのに、右月日AをしてB運輸株式会社C支店より覚せい剤2CC入りアンプル2、800本を運ばせ、右被告人宅玄関前でこれを受け取り、もつて覚せい剤を所持したものである。」旨の事実を認定するには、訴因変更手続を必要としない。

【参照条文】    覚せい剤取締法17-3

          覚せい剤取締法41-1

          覚せい剤取締法41-3

          刑法43

          刑事訴訟法312

【掲載誌】     最高裁判所裁判集刑事130号439頁