差押禁止債権である退職年金等の給付が、銀行の口座に振り込まれて預金債権となった場合の、婚姻費用分担金債権に基づく差押えの可否(積極)
東京高等裁判所決定/平成元年(ラ)第691号
平成2年1月22日
差押命令全部取消決定に対する執行抗告申立事件
【判示事項】 差押禁止債権である退職年金等の給付が、銀行の口座に振り込まれて預金債権となった場合の、婚姻費用分担金債権に基づく差押えの可否(積極)
【判決要旨】 1 差押禁止債権である退職年金等の給付が、右年金受給者の預金口座に振り込まれて、金融機関に対する預金債権になった場合においても、これに対する差押命令は、特段の事情のない限り、民事執行法153条1項により、取り消されるべきである。
2 差押請求債権が、右年金収入をもって支払われることを前提に審判された婚姻費用分担金債権であること等特別の事情があるときには、右特段の事情のある場合に該当し、差押命令を取り消すのは相当でない。
【参照条文】 民事執行法152
民事執行法153-1
地方公務員等共済組合法51
私立学校教職員共済組合員法25
厚生年金保険法41
【掲載誌】 金融法務事情1257号40頁