塩酸モルヒネ末の所持者が他人に依頼して注射液に製剤した上所持する場合とその罪数 最高裁判所 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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塩酸モルヒネ末の所持者が他人に依頼して注射液に製剤した上所持する場合とその罪数

 

最高裁判所第3小法廷判決/昭和28年(あ)第2803号

昭和30年4月19日

麻薬取締法違反等被告事件

【判示事項】    1、旧麻薬取締法(昭和23年法律第123号)第3条にいう「譲り渡し」の意義

2、塩酸モルヒネ末の所持者が他人に依頼して注射液に製剤した上所持する場合とその罪数

3、塩酸ヂアセチルモルヒネの所持者がそれを麻薬である塩酸モルヒネと誤信した場合とその罪責

【判決要旨】    1、旧麻薬取締法(昭和23年法律第123号)第3条にいう「譲り渡し」とは、所有権の移転を目的とする麻薬の授受の場合にかぎられない。

2、塩酸モルヒネ末を所持する者が、これを他人に交付して注射液の製剤を依頼し、その後注射液として引渡を受けて所持する場合は、塩酸モルヒネ末の所持罪と注射液の所持罪との2罪が成立し、併合罪となる。

3、塩酸ヂアセチルモルヒネを所持する者が、それを麻薬である塩酸モルヒネと誤信していたときは旧麻薬取締法(昭和23年法律第123号)第3条違反の罪責を負う。

【参照条文】    旧麻薬取締法(昭和23年法律第123号)3

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集9巻5号855頁