大学内で新学科を創設したものの大幅に定員割れを起こしている状況下で,当該学科新設に携わったXの給 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属

大学内で新学科を創設したものの大幅に定員割れを起こしている状況下で,当該学科新設に携わったXの給与を20%と大幅に降給した事案において,XとY大学との間では,明示的にも黙示的にも本件降給措置に関する合意は認められないとして,降給が無効とされた例

 

秋田地方裁判所判決/平成22年(ワ)第294号

平成24年10月12日

地位確認等請求事件

【判示事項】    1 原告Xによる近隣高校へのファックス送信行為が被告Y大学所定の手続きに従っておらず,内容もY大学と高校との信頼関係を失わせるとしてなされた准教授から講師への降格処分およびそれに伴う減給について,手続的適正を欠き,また,処分の相当性を欠くことは明白であり,懲戒権の濫用であって無効とされた例

2 大学内で新学科を創設したものの大幅に定員割れを起こしている状況下で,当該学科新設に携わったXの給与を20%と大幅に降給した事案において,XとY大学との間では,明示的にも黙示的にも本件降給措置に関する合意は認められないとして,降給が無効とされた例

3 当初は,期間の定めのない労働契約で採用された大学教員であるXが,Y大学との個別合意に基づき有期雇用に転換され,その後に雇止めがなされたケースについて,XとY大学との間の有期労働契約は,特段の問題がない限り,任期満了後も再任用されることが前提となる雇用契約として合意されたのであり,Xは,任期満了後も再任用されることについて合理的期待を有していたもので,本件不再任については,解雇権濫用法理が類推適用されるとされた例

4 本件不再任は合理的理由を欠くものであって,XとY大学との間では,平成22年4月1日以降も任期を2年とする従前の契約が更新されたのと同様の法律関係にあるとされた例

【掲載誌】     労働判例1066号48頁