性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号と憲法13条,14条1項
最高裁判所第2小法廷決定/平成30年(ク)第269号
平成31年1月23日
【判示事項】 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号と憲法13条,14条1項
【判決要旨】 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号は,憲法13条,14条1項に違反しない。
(補足意見がある。)
【参照条文】 憲法13
憲法14-1
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事261号1頁
裁判所時報1716号4頁
判例タイムズ1463号74頁
【解説】
1 事案の概要
本件は,生物学的には女性であるXが,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」という。)3条1項の規定に基づき,男性への性別の取扱いの変更の審判の申立てをした事案である。
2 本件の事実関係の概要は次のとおりである。
(1) Xは,生物学的には女性であるが心理的な性別は男性であるという,性同一性障害者である。
(2) Xは,大学病院で身体の男性化を目的とするホルモン療法を受け,これにより,外性器の外観は男性型の性器に近似していること,乳房の隆起はなく男性型であること等が認められる。
しかし,Xは,身体に著しい侵襲を伴う手術をすることへの恐怖等の理由から,特例法3条1項4号の規定(以下「本件規定」という。)が定める「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」という要件を満たすために行われる生殖腺の除去手術は受けていない。
(3) Xは,自らが本件規定の要件を満たしていないことを前提としつつ,本件規定は憲法13条に違反して無効であるとして,特例法3条1項に基づく性別の取扱いの変更の審判の申立てをした。
3 原々審,原審及び本決定の内容
原々審,原審とも,法律上の性別の取扱いの変更の要件をどのように定めるかは,その内容が合理性を有する限り立法府の裁量に属するものというべきであり,本件規定が憲法13条に違反する不合理な規定であるということはできない旨判断して,本件申立てを却下すべきものとした。
これに対し,Xが,本件規定は憲法13条及び14条1項に反し無効であるとして,特別抗告をしたところ,最高裁は,裁判要旨のとおり判示して,Xの抗告を棄却した。