夫婦別姓訴訟事件・最高裁判所大法廷判決平成27年12月16日 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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夫婦別姓訴訟事件・最高裁判所大法廷判決平成27年12月16日

 

最高裁判所大法廷判決/平成26年(オ)第1023号

平成27年12月16日

損害賠償請求事件

【判示事項】    1 民法750条と憲法13条

          2 民法750条と憲法14条1項

          3 民法750条と憲法24条

【判決要旨】    1 民法750条は,憲法13条に違反しない。

          2 民法750条は,憲法14条1項に違反しない。

          3 民法750条は,憲法24条に違反しない。

          (3につき補足意見,意見,反対意見がある。)

【参照条文】    憲法13

          憲法14-1

          憲法24

          民法750

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集69巻8号2586頁

【解説】

 1 事案の内容

 (1) 本件は,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める民法750条の規定(以下「本件規定」という。)の憲法適合性が問題とされ,「夫婦別姓訴訟」等として広く報道された事件である。

 (2) 原告ら5名は,婚姻前の氏を通称として使用している者又は氏の選択をせずに提出した婚姻届が不受理となった者である。原告らは,本件規定が憲法13条,14条1項,24条又は「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(以下「女子差別撤廃条約」という。)に反するものであって,夫婦同氏制度に加えて夫婦別氏制度という選択肢を新たに設けない立法不作為(以下「本件立法不作為」という。)が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けると主張して,被告国に対し,それぞれ精神的損害の賠償金150万円又は100万円の支払を求めた。

 (3) 第1審,原審とも,本件規定が憲法13条や24条,女子差別撤廃条約に反するものとは認めず,本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとは解されないとして,原告らの請求を棄却すべきものとした(原審までにおいては,明示的には憲法14条1項違反の主張はされなかった。)。原告らが上告したところ,最高裁大法廷は,要旨のとおり述べて,上告を棄却した。

 最高裁で主に問題となったのは,①憲法13条に関連して,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が人格権の一内容であるといえるか,②憲法14条1項に関連して,本件規定がほとんど女性のみに不利益を負わせる差別的な効果を有する規定であるといえるか,③憲法24条に関連して,本件規定が同条1項の趣旨に沿わない制約を課したものか,本件規定が同条の定める立法上の要請,指針に照らして合理性を欠くものかという点である。なお,上告人らの論旨においては,原判決が女子差別撤廃条約に関する解釈を誤っており,憲法98条2項に違反する旨の主張もあるが,この点については単なる法令違反の主張であり,適法な上告理由には当たらないものとされた。