信用金庫が出資を勧誘し,出資金を拠出させたが,その後破綻して出資者が出資金の返還を受けられなくなった場合において,一部の出資勧誘に出資の法的性格の説明義務違反の違法があったとして,同信用金庫の一部の出資者に対する不法行為責任(使用者責任)が認められた事例
大阪地方裁判所判決/平成14年(ワ)第11113号、平成14年(ワ)第13049号、平成15年(ワ)第4595号、平成17年(ワ)第1120号
平成20年9月30日
損害賠償等請求事件
【判示事項】 1 信用金庫が出資を勧誘し,出資金を拠出させたが,その後破綻して出資者が出資金の返還を受けられなくなった場合において,一部の出資勧誘に出資の法的性格の説明義務違反の違法があったとして,同信用金庫の一部の出資者に対する不法行為責任(使用者責任)が認められた事例
2 上記の違法な出資の勧誘に関し,国が監督権限を行使してこれを阻止しなかったことについて国家賠償責任が否定された事例
【参照条文】 国家賠償法1-1
信用金庫法1
信用金庫法10
信用金庫法89-1
民法(平18法50号改正前)44
民法709
民法715
【掲載誌】 判例タイムズ1336号75頁
【解説】
1 Xら528名は,平成10年4月から平成13年12月ころまでの間に,Y1の職員から出資の勧誘を受けて,Y1に出資金を拠出した者である。Y1は,大阪府下及び兵庫県下に本店1,支店38の店舗を有する信用金庫であった。Y1は,平成14年1月25日,内閣総理大臣より金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(預金保険法74条1項)を受け,同年3月27日には,別の信用金庫に対する事業譲渡に関し,裁判所による事業譲渡代替許可決定が出されて,破綻した。Xらは,結果的に,本件出資金の返還を受けることができなくなった。
本件は,Xら528名が,①Y1に対し,Xらに対する出資の勧誘については,当時,Y1の財務状況が実質的に債務超過状態にあり,破綻する可能性があったのにこれを説明しなかった説明義務違反の違法,出資の法的性格の説明義務に違反し定期預金と混同させた違法のほか,優越的地位の濫用や解約拒否等の違法があると主張して,不法行為に基づき,出資金相当額及び弁護士費用等(総額約17億6400万円)の損害賠償を求め,②Y2(国)に対し,Y1が,平成10年4月以降,違法な出資の勧誘又は解約の拒否を行っていたことについて,監督権限を行使してこれを阻止すべき法的義務があったのに,監督権限を行使しなかった違法があるなどと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,①と同額の損害賠償を求めた事案である。なお,補助参加人Zは,破綻処理の一環として,Y1の事業譲渡先との間で,Y1が本件で敗訴したときは,損害賠償額を資金援助するとの契約を締結していることから,Y1に補助参加している。