刑法247条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義
最高裁判所第1小法廷決定/昭和56年(あ)第411号
昭和58年5月24日
背任被告事件
【判示事項】 1 刑法247条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義
2 信用保証協会職員の保証業務行為が背任罪に該当するとされた事例
【判決要旨】 1、刑法247条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」とは、経済的見地において本人の財産状態を評価し、被告人の行為によつて本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかつたときをいう。
2、信用保証協会の業務の性質上、その行う債務保証が、常態においても同協会に損害を生じさせる場合が少なくないとしても、同協会の支所長が、企業者の資金使途が倒産を一時期糊塗するためのものであることを知りながら、委任された限度額を超えて同人に対する債務保証を専決し、あるいは協会長に対する稟議資料に不実の記載をし、保証条件についての協会長の指示に従わないで保証書を交付するなどして、同協会をして企業者の債務を保証させたときは、右支所長は、任務に背き同協会に財産上の損害を加えたものというべきである。
【参照条文】 刑法247
信用保証協会法1
信用保証協会法20
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集37巻4号437頁