原告X3,X4について,週休日および勤務時間の割振りを委任された校長らが,勤務時間条例および県教 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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原告X3,X4について,週休日および勤務時間の割振りを委任された校長らが,勤務時間条例および県教委の勤務時間等規則による割振り基準に従って休日を指定しなかったのは,国家賠償法1条1項の不法行為に当たるとされ,同条に基づく損害賠償金の支払いが認められた例

 

広島地方裁判所判決/平成12年(行ウ)第20号

平成17年6月30日

時間外勤務手当等請求事件

【判示事項】    1 県立高校の教育職員(X1~X4)が県給与条例に基づき行った,部活動指導,対外試合への引率等を理由とする時間外勤務,休日勤務および夜間勤務の各手当の支払い請求が棄却された例

2 教職調整額等に関する給特法および県の給特条例等関係法令によれば,国公立の教育職員については,その業務の特性から,時間外勤務を命ずることができる場合を一般の公務員よりも限定すること,時間外勤務に対する手当は支給しないが給与の4%に相当する額の教育調整額を支給するとされていることから,原則として,教育調整額のほかに時間外勤務手当の支給はできないと解されるとされた例

3 給特条例2項所定の業務に当たらない業務に正規の勤務時間外に従事することを命じる違法な職務命令が発せられ,その職務命令が,当該教育職員の自由意思を極めて強く拘束するような形態のものであり,かつ,そのような勤務が無定量なものとして常態化している等の事情が認められる場合には,例外的に,時間外勤務手当等の支給を定めた給与条例の適用は排除されないと解されるとされた例

4 原告らの時間外および休日等における部活動や分掌の事務への従事について,旅行命令簿が作成されていたこと等の事実を考慮しても,原告らが勤務先の校長から原告らの自由意思を極めて強く拘束するような形態の服務命令を受け,原告ら主張の時間外勤務に従事したとまで認めるのは困難であるとして,時間外勤務手当等の請求が棄却された例

5 勤務時間等条例に基づく週休日の勤務日に対する振替および代休指定は,任命権者が職員に対し適法に週休日の勤務を命じることができる場合を前提要件とするものであり,この要件を欠く場合には同条の適用はないとして,原告らの,休日振替えや代休指定の懈怠を理由とする賠償請求が棄却された例

6 原告X3,X4について,週休日および勤務時間の割振りを委任された校長らが,勤務時間条例および県教委の勤務時間等規則による割振り基準に従って休日を指定しなかったのは,国家賠償法1条1項の不法行為に当たるとされ,同条に基づく損害賠償金の支払いが認められた例

【掲載誌】     労働判例906号79頁