融資の時点で短期間に倒産に至る破綻状態にある債務者のために締結した連帯保証契約には動機の錯誤があり債務者が破綻状態にないことを信じて連帯保証する旨の動機も表示されているとして連帯保証契約が要素の錯誤により無効とされた事例
東京高等裁判所判決/平成17年(ネ)第144号
平成17年8月10日
保証債務履行請求控訴事件
【判示事項】 融資の時点で短期間に倒産に至る破綻状態にある債務者のために締結した連帯保証契約には動機の錯誤があり債務者が破綻状態にないことを信じて連帯保証する旨の動機も表示されているとして連帯保証契約が要素の錯誤により無効とされた事例
【判決要旨】 有限会社の甲が信用金庫の乙から中小企業金融安定化特別保証制度に基づく信用保証協会の保証付きで融資を受けるに際して、同社の連帯保証人となった丙において、当該連帯保証契約締結の時点ですでに丙が現実に保証債務の履行の責を負うことがほぼ確実な状況であったにもかかわらず、甲の経営状態が破綻状態にあるものとはまったく認識せずに乙との間で当該連帯保証契約の締結に応じたものというべき場合には、その動機に錯誤があったことは明らかであって、かつ、その動機が表示されていることも明らかであるから、当該連帯保証契約は、丙の錯誤により無効である。
【参照条文】 民法95
民法(平成16年法律147号による改正前のもの)446
【掲載誌】 判例タイムズ1194号159頁
金融・商事判例1226号15頁
判例時報1907号42頁
金融法務事情1760号30頁