著作権法31条1号の趣旨 東京高等裁判所判決平成7年11月8日 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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著作権法31条1号の趣旨

 

東京高等裁判所判決/平成7年(行コ)第63号

平成7年11月8日

著作権確認等請求控訴事件

【判示事項】    1、著作権法31条1号の趣旨

2、図書館における複写に関して、事典の1項目が、編集著作物中の1個の著作物の全部に当たり、著作権法31条1号にいう「著作物の一部分」に当たらないとされた事例

【判決要旨】    1、著作権法31条1号は、政令で定める図書館において、図書館の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分等所定のものの複製物を一人につき一部提供する場合に、図書館資料を用いて著作物を複製することができることを定めた規定であって、著作権者の専有する複製権の及ばない例外として、一定の要件の下に図書館において一定の範囲での著作物を複製することができるとしたものであり、図書館に対し、複製物提供業務を行うことを義務付けたり、蔵書の複製権を与えたものではなく、また、図書館の利用者に対し、図書館の蔵書の複製権あるいはその一部の複製をする権利を認めたものでもない。

2、図書館における複写に関して、複数の執筆者が項目ごとに執筆し、各項目ごとにまとまった内容を有し、かつ、著作者が明示されている事典の1項目が、編集著作物中の一個の著作物の全部に当たり、著作権法31条1号にいう「著作物の一部分」に当たらないとされた事例

【参照条文】    著作権法31

          著作権法施行令1の3-1

          図書館法2-1

【掲載誌】     知的財産権関係民事・行政裁判例集27巻4号778頁