本件は,被告の関連会社が経営する飲食店のマネージャーとして勤務していた原告が,未払いの時間外労働割増賃金,深夜労働割増賃金約2年分の支払いを求めたものである。
東京地方裁判所判決/平成17年(ワ)第2459号
平成18年8月7日
賃金請求
【判示事項】 (1) 労基法41条にいう管理監督者とは,労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者の意味であるところ,管理監督者であるといい得るためには,就業時間や職務の遂行について相当程度の自由な裁量があること,部下の人事や経営の重要な事項を知り,それについてある程度の決定権があることなどが必要とされた例
(2) 被告の各店舗のマネージャーは,店長と協議のうえ,アルバイト従業員の採用,そのシフトの作成などについての権限は有するが,人件費は各店舗の売上げの28%以内とされ,正社員の採用権限は有していないこと,幹部会議で発言権を持っていたとしても,それによって被告の人事や経営に関する重要な事項の決定に参画していたとまではいいがたいこと,メニューの決定や売上目標について,最終的には被告代表者が決定権を有していたこと,勤務時間について相当程度自由な裁量があったとは認められないこと,本件店舗では,アルバイト従業員の出勤数の少ない日に,店長とマネージャーである原告の出勤日を決めていたこと,原告の接客業務の内容はアルバイト従業員と変わらないものであったことなどに照らせば,店長やマネージャーが,被告の労務管理や経営の重要事項について,経営者と一体的立場にあったものとは認めがたいとされた例
(3) マネージャーは,基本給において一般職よりも厚遇されているわけではなく,役職手当の額は定額時間外深夜手当を含め1万5000円に留まり,職務手当の差額は,平均的な評価でみれば2万円にすぎないことから,これらの諸手当を合わせても,時間外労働に対する割増賃金の支払いがされていないことの代償として十分とはいえず,管理監督者として十分な処遇がされていないとされた例
(4) 労基法41条は,労働時間,休憩,休息および休日の規定を適用除外としているものであり,深夜業の関係規定(37条の関係部分および61条の規定)は適用除外されるものではないから,管理監督者であっても,労基法37条に定める時間帯に労働させる場合は,労働協約,就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合以外は,深夜業の割増賃金を支払わなければならないとされた例
(5) 本件店舗のマネージャーであって原告は,その権限に照らしても,処遇に照らしても,労基法41条に定める管理監督者に該当するとはいえないので,原告に対して時間外労働,深夜労働に対する割増賃金が支払われるべきであるとされ,被告に未払いの時間外割増賃金および深夜労働割増賃金452万余円およびそれと同額の付加金の支払いが命じられた例
【掲載誌】 労働判例924号50頁
労働経済判例速報1952号3頁