Y1社による本件サービスアグリーメント(労働者派遣契約)の解除は,Xらが正当な組合活動を行ったことを理由としてなされたものと認めるのが相当であり,同解除は派遣法27条に違反するもので無効であるから,同解除が有効であることを前提としてなされたY2社のXらに対する本件解雇も,その前提を欠くもので無効とされた例
東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第2508号
平成24年12月5日
雇用関係確認等請求事件
トルコ航空会社事件
【判示事項】 1 派遣労働者と派遣先会社との間に黙示の雇用契約が成立するためには,①採用時の状況,②指揮命令および労務提供の態様,③人事労務管理の態様,④対価としての賃金支払いの態様等に照らして,両者間に雇用契約関係と評価するに足りる実質的な関係が存在し,その実質関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思表示の合致があることが必要であるところ,労働者派遣では労務の具体的指揮命令は派遣先会社が行うことが予定されているから,黙示の雇用契約の成立が認められるためには,派遣元会社が名目的存在に過ぎず,労働者の採否の決定,労務提供の態様,人事労務管理の態様,賃金額の決定等が派遣先会社によって事実上支配されているような特段の事情が必要とされた例
2 Y1社による本件サービスアグリーメント(労働者派遣契約)の解除は,Xらが正当な組合活動を行ったことを理由としてなされたものと認めるのが相当であり,同解除は派遣法27条に違反するもので無効であるから,同解除が有効であることを前提としてなされたY2社のXらに対する本件解雇も,その前提を欠くもので無効とされた例
3 派遣法は派遣労働者の雇用の安定だけでなく,派遣先の常用労働者の雇用の安定(常用代替防止)をも立法目的とし,派遣期間の制限規定を置く等して両目的の調和を図っているところ,同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは常用代替防止の観点から同法の予定するところではないとして,有期雇用により派遣労働契約を締結・更新してきたXらに対する本件雇止めが適法とされた例
【掲載誌】 労働判例1068号32頁
労働経済判例速報2173号3頁