株式会社Y1(代表取締役Y2)は,唯一の取引先である東京都環境整備公社から産業廃棄物の分別業務等 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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株式会社Y1(代表取締役Y2)は,唯一の取引先である東京都環境整備公社から産業廃棄物の分別業務等を請け負っていたが,公社との契約が継続されず解散に至った。株式会社Y3(代表取締役Y4)は,唯一の取引先であるY1から産業廃棄物の選別業務について下請けをしていたが,Y1と公社との契約終了に伴い,Xら(7名)を含む全従業員を解雇した。本件(第2事件)は,Xらのうち6名が,Y3及び(実質的な雇用主であるとXらが主張する)Y1に対し,解雇の無効を主張して,解雇日の翌日以降の賃金の支払を求めるとともに,Y3の代表取締役Y4に対し,Y1とともに公社との契約交渉を行って業務を維持すべき忠実義務があったのにこれに違反したとして,会社429条に基づき損害賠償の支払を求める事案である。

 

東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第22049号、平成21年(ワ)第41883号

平成23年5月30日

損害賠償請求(第1事件)、賃金等請求事件(第2事件)

【判示事項】    1 原告X1支部およびX2分会は,団体としての組織,独自の規約,組合費による財政基盤を備え,その主たる目的も労働条件の維持改善等にあるから,労働組合法2条本文の定める労働組合に該当し,権利能力なき社団として当事者能力を有しているのであって,役職者の欠員,決算・会計監査等の不徹底をもって,その法適合組合性と権利能力なき社団性を否定するほどの事情に当たるとはいえないとされた例

2 被告Y1社と被告Y3社の間に資本関係はなく,経理も別々になされていたこと,業務指示の主体等を考慮すると,両社が一種の協力企業関係にあった程度を超えて,Y3社の法人格の形骸化および濫用や,両社の一体性は認められないとして,Y1社とY2(Y1社代表取締役)に対するY3社社員の原告A~G,X1支部,X2分会の慰謝料請求が退けられた例

3 Y1社の受注業務終了に伴うY3社の従業員であるAらに対する解雇は,企業を存続させるために経営上必要とされる人員削減とは様相を異にする解雇形態であるから,整理解雇法理の適用にはなじまず,端的に,解雇権濫用論の成否における検討要素として,解雇回避努力の有無ないし程度と,手続きの相当性を考慮要素とするべきとされた例

4 労働協約の解雇同意条項はその内容および性質上,規範的効力を有しており,使用者が組合と十分に協議をつくし,その解雇がやむを得ないものであるにもかかわらず組合がこれを拒む等の場合には,使用者は労働協約上の義務をつくしたと解すべきであるが,解雇回避措置に限界があるのであれば,なおさら解雇に至る経緯の説明や解雇条件についての協議等を実施しておくべきであるとされた例

5 Y3社が組合の団体交渉の申入れを拒否し続け,解雇に関して一度も説明・協議の場を設けなかったことが労働協約に違反することは明白であって,手続きの相当性を明らかに欠くものであるから,Aらの解雇は社会通念上相当であるとは認められず無効であるとして,毎月の賃金支払いが命じられた例

6 Aらの解雇が不当労働行為であるとは認められないが,団体交渉不応諾型の不当労働行為を,その解雇に至る経緯の違法性と捉えて不法行為と構成することはできるとして,各人の慰謝料20万円(Cは40万円)について,被告Y4(Y3社代表取締役)個人に会社法429条に基づく損害賠償責任が認められた例

【掲載誌】     労働判例1033号5頁