保険会社の会社更生計画における更生特例法に基づく早期解約控除特則が、いわゆる代行返上に伴なう厚生 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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保険会社の会社更生計画における更生特例法に基づく早期解約控除特則が、いわゆる代行返上に伴なう厚生年金基金保険解約の解約返戻金に適用されないとされた事例

 

大阪高等裁判所判決/平成17年(ネ)第1256号、平成17年(ネ)第2130号

平成17年11月24日

解約返戻金返還請求控訴事件、同附帯控訴事件

【判示事項】    保険会社の会社更生計画における更生特例法に基づく早期解約控除特則が、いわゆる代行返上に伴なう厚生年金基金保険解約の解約返戻金に適用されないとされた事例

【判決要旨】    厚生年金基金が企業年金基金に移行(いわゆる代行返上)することによって、当該厚生年金基金が会社更生法の適用を受けた生命保険会社との間で締結していた厚生年金基金保険契約が解約となる場合も、当該生命保険会社の更生計画に基づき定められた早期解約控除に関する特則における例外事由(「保険契約の条件変更に関する特則」7条2項(1)「団体の解散、合併、営業譲渡および被保険者の転籍ならびに厚生年金基金の解散等、契約者の意思によらずやむをえない事由により契約の全部または一部を解約する場合」)に該当するものと解すべきである。

【参照条文】    確定給付企業年金法111

          確定給付企業年金法112

          厚生年金保険法138-6

          厚生年金保険法145-2

【掲載誌】     金融法務事情1791号115頁

【解説】

 1 本件は、確定給付企業年金法に基づき厚生年金基金から企業年金基金に移行するという、いわゆる「代行返上」の場面において、代行返上に伴ない解約されることとなる厚生年金基金保険の解約返戻金について、当該保険契約の相手方である被告(控訴人、附帯被控訴人)生命保険会社の会社更生計画に基づき制定された早期解約控除制度に関する特則による控除の是非が争われた事案である。

 2 原告(被控訴人、附帯控訴人)2名はともに企業年金基金であるが、それぞれ、平成16年4月1日付の代行返上に伴ない消滅する別個の厚生年金基金の権利義務を承継したものである(確定給付企業年金法112条4項)。当該各厚生年金基金は、被告との間でそれぞれ昭和43年および平成5年に厚生年金基金保険契約を締結していたのであるが、上記代行返上に伴ない、当該保険契約が解約され、解約返戻金が支払われることとなった。一方、被告は、平成13年3月に会社更生手続開始を申し立て、同年9月30日付で認可された更生計画案の中では、「保険の群団性を維持させるとともに、早期に大量解約されることによる収支の悪化を防ぐために、更生特例法(筆者注:金融機関等の更生手続の特例等に関する法律)177条の34第2項(筆者注:現在の同法445条2項)により認められた解約払戻金等の減額」の制度(以下「早期解約控除制度」という)を設けることが定められ、これを受けて、平成13年10月1日、厚生年金基金保険契約を含む団体年金保険について、保険契約の条件変更に関する特則(以下「本件特則」という)を制定していた。上記解約返戻金の支払に際し、被告は、本件特則に基づき、返戻金の一部を控除して支払ったところ、原告が当該控除部分の支払を求めて提訴したものである。

 3 原審は、代行返上に伴なう厚生年金基金の消滅という事情によつて当然に厚生年金基金保険契約につき解約が生じるので、早期解約控除制度の例外事由として定められた「契約者の意思によらずやむをえない事由により契約の全部または一部を解約する場合」(本件特則7条2項(1))に該当するとして、被告が控除した解約返戻金全部の支払を命じた。