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海外(中華人民共和国)出張中において、ホテルで、第三者である強盗の加害行為により殺害された者について業務上の事由による死亡であるとされた事例

 

徳島地方裁判所判決/平成12年(行ウ)第20号

平成14年1月25日

遺族補償給付等不支給処分取消請求事件

【判示事項】    海外出張中において第三者の加害行為により殺害された者について業務上の事由による死亡であるとされた事例

【参照条文】    労働者災害補償保険法7-1

【掲載誌】     判例タイムズ1111号146頁

【解説】

 一 事案の概要

 Xの夫Aは、勤務する会社の命令に基づき、中華人民共和国(以下「中国」という。)に出張し、ホテルで休憩中に、何者かによって財布を強奪された上、殺害された。そこで、Xは、Aの死亡は業務上の事由によるものであるとして、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)に基づき、労働基準監督署長であるYに対し、遺族補償給付及び葬祭料の支給請求をしたが、Yからこれらを支給しない旨の処分を受けたため、その取消を求める行政訴訟を提起した。

 二 本判決の概要

 本判決は、まず、一般論として、労災保険法七条にいう「業務上」の事由による災害と認められるためには、いわゆる業務遂行性と業務起因性が必要であるところ、業務遂行中に生じた災害は、特段の事情がない限り、業務に起因するものと事実上推定されるべきであるとした。その上で、本件当時、Aは所定の宿泊施設内で行動しており、積極的な私的行為等に及んでいないことから、業務遂行性があるとし、さらに、本件が発生する前後に、本件発生現場を含む中国内において、日本人ら外国人旅行者がホテル内で強盗殺人の被害に遭う事件が現実に生じており、本件被害現場となったホテルの安全対策が十分であったとはいいがたいことからすると、本件事件は、出張業務に内在する危険性が現実化したもので業務起因性を否定すべき特段の事情もないとして、本件事案は労災保険法七条の「業務上死亡した場合」にあたるとして、本件処分を取り消す旨の判断をした。