Y社の就業規則,求人広告および雇用契約書では,基本給の額と残業手当の額の区別が明確にされていたと | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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Y社の就業規則,求人広告および雇用契約書では,基本給の額と残業手当の額の区別が明確にされていたとは認められないし,労働契約時において給与総額のうちに何時間分の割増賃金代替手当が含まれているかが明確にされていたとも認められないから,本件の残業手当の支払いをもって,時間外労働割増賃金の代替としての支払いと認めることはできないとされた例

 

大阪高等裁判所判決/平成28年(ネ)第2839号、平成28年(ネ)第3136号

平成29年3月3日

未払賃金等請求控訴,同附帯控訴事件

鳥伸事件

【判示事項】    1 控訴人・附帯被控訴人(一審原告)Xと被控訴人・附帯控訴人(一審被告)Y社との間の雇用契約書には「月給250,000円-残業含む」と総額が記載されているのみで,その内訳が明らかにされていないこと,本件店舗の店長がXの現実の時間外労働時間を十分に管理し,把握していなかったといえるから「6万2000円」の残業手当が想定する時間外労働時間を同店長がXに明確に説明したとはいえないこと,雇用契約書には,時間外労働時間を含めたものとうかがわれる就業時間として,(午前)7時から(午後)7時30分まで,週6日との記載があるが,これをもって残業手当が想定した時間外労働時間を示した記載であるとは認められないことから,労働契約時において,給与総額のうちに何時間分の割増賃金代替手当が含まれているのかが明確にされていたとは認められないとされた例

2 Y社は,労働契約時に想定時間外労働時間を十分に明らかにしないまま労働契約を締結し,その後自らが定めた金額を残業手当として支払ってきたものであるから,誠実に労働基準法等の規制を遵守していたとはいえないものの,上記残業手当における想定労働時間が現実の時間外労働時間と格段に相違しているとまでは認められないこと,現実の時間外労働時間数の程度等を考え合わせると,Y社に対し,上限額の2分の1の付加金の支払いを命じるのが相当であるとされた例

3 本件店舗は他の店舗から場所的に独立しているから,原則として別個の事業所と認めるべきものであり,本件店舗には店長が置かれ,本件店舗の営業方針や仕入発注等の日常の営業業務はすべて同店長がその裁量により決めており,同店長は本件店舗の売上管理を行っているから,営業面の独立性が認められ,本件店舗の従業員は,Y社の全従業員の半分以上を占め,他店舗の従業員と重なってもいないから,規模上も人員配置上も独立しており,Xの採用時の人選およびシフト表の作成も同店長が行い,パート社員のタイムカードの打刻も本件店舗で行われているから,本件店舗では一定程度の人事労務権限を有し,そのための事務を行っているといえることから,本件店舗には,規模,組織および事務処理の観点からみて,一定の独立性があるといえるので,本件店舗は独立の「事業所」に該当すると認められ,Xの所定労働時間は週44時間であるとされた例

4 始業前・終業後のそれぞれ5分ずつについて労働時間と認められた例

5 Y社の就業規則,求人広告および雇用契約書では,基本給の額と残業手当の額の区別が明確にされていたとは認められないし,労働契約時において給与総額のうちに何時間分の割増賃金代替手当が含まれているかが明確にされていたとも認められないから,本件の残業手当の支払いをもって,時間外労働割増賃金の代替としての支払いと認めることはできないとされた例

【掲載誌】     労働判例1155号5頁