不動産の売買契約が三者間で順次締結された事案で、登記手続がいわゆる連件登記申請の方法により行われる場合において、後件のみの登記手続を代理する司法書士が、前件の登記手続書類の真否等について調査確認義務を負わないとされた事例
東京地方裁判所判決/平成30年(ワ)第29909号
令和2年1月31日
損害賠償請求事件
【判示事項】 不動産の売買契約が三者間で順次締結された事案で、登記手続がいわゆる連件登記申請の方法により行われる場合において、後件のみの登記手続を代理する司法書士が、前件の登記手続書類の真否等について調査確認義務を負わないとされた事例
【判決要旨】 不動産の売買契約が三者間で順次締結された事案で、登記手続がいわゆる連件登記申請の方法により行われる場合において、前件の登記手続を代理する別の司法書士がいるときは、後件の登記手続を代理する司法書士は、原則として、前件の登記手続書類について必要な書類が揃っているか否かを形式的に確認するという義務を負うにとどまるが、前件の登記手続を代理した司法書士が、その態度等からおよそ司法書士としての職務上の注意義務を果たしていないことを疑うべき事情等の特段の事情がある場合については、例外的に、前件の登記手続書類の真否等について調査確認すべき義務を負うと解するのが相当である。
【参照条文】 民法709
司法書士法2
司法書士法3-1
司法書士法4
司法書士法73-1
【掲載誌】 金融法務事情2152号69頁
【解説】
1 事案の概要
本件は、いわゆる地面師詐欺事案であり、最終買主であるXと中間買主であるAとの間、Aと土地所有者であるCを名乗る者(売主、以下「自称C」という)との間で、それぞれ本件土地についての売買契約が同日に順次締結された。
Xは、Aと売買契約を締結するにあたって、司法書士であるYに登記手続(以下「後件登記」という)を委任し、Aは、E司法書士に登記手続(以下「前件登記」という)を委任していた。
両売買契約の決済の場には、Xの従業員、Y、E司法書士から代理を受けた弁護士、Aの代表者、自称CおよびCの債権者を称する者2名が出席していた。しかし、Aと自称Cとの売買契約における登記手続書類が偽造されたものであったため、Xは本件土地の所有権を取得することができず、売買代金相当額の損害が発生した。そこで、Xは、Yが前件の登記手続書類の真否等を調査確認すべき義務を怠ったとして、不法行為に基づき損害賠償を請求した。