Kは本件会合において多量の飲酒をして相当程度酩酊し,業務性のある会合参加が終了した3時間以上経過後の午後10時15分頃から,部下に支えられてやっと歩ける状態で帰宅行為についていることや本件事故の態様,入院先で採取されたエタノール濃度が高かったことからすると,本件事故にはKの飲酒銘酊が大きくかかわっているとみざるを得ず,Kの帰宅行為は就業に関してなされたものとはいいがたく,合理的な方法による通勤ということはできず,結局,本件事故を労災保険法7条1項2号の通勤災害と認めることはできないとして,本件事故を通勤災害と認めた一審判決(労働判例943号28頁)が取り消され,Kの妻である被控訴人の請求が棄却された例
東京高等裁判所判決/平成19年(行コ)第150号
平成20年6月25日
遺族給付等不支給決定処分取消請求控訴事件
【判示事項】 1 飲酒を伴う任意参加の会合につき,被災労働者Kが本件会合の主催部署である事務管理部の次長として当該部門を実質的に統括し,部長から本件会合における部員らの意見や要望などを聴取し,これに対応することを命じられて毎回出席していたことからすると,Kの本件会合への参加は業務に当たるが,Kは,本件会合に参加しても従来は午後7時頃には退社し,本件会合の終了もアルコールがなくなる頃(午後8時~午後8時30分頃)であった実情などからすると,午後7時前後には本件会合の目的に従った行事は終了していたと認めるのが相当であり,Kにとっても業務性のある参加は,午後7時前後までであるとされた例
2 Kは本件会合において多量の飲酒をして相当程度酩酊し,業務性のある会合参加が終了した3時間以上経過後の午後10時15分頃から,部下に支えられてやっと歩ける状態で帰宅行為についていることや本件事故の態様,入院先で採取されたエタノール濃度が高かったことからすると,本件事故にはKの飲酒銘酊が大きくかかわっているとみざるを得ず,Kの帰宅行為は就業に関してなされたものとはいいがたく,合理的な方法による通勤ということはできず,結局,本件事故を労災保険法7条1項2号の通勤災害と認めることはできないとして,本件事故を通勤災害と認めた一審判決(労働判例943号28頁)が取り消され,Kの妻である被控訴人の請求が棄却された例
【掲載誌】 訟務月報55巻5号2091頁
判例時報2019号122頁
労働判例964号16頁
労働経済判例速報2010号3頁