土地建物の売買契約実行後、買主が売主に対し、土地中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして瑕疵担保責 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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土地建物の売買契約実行後、買主が売主に対し、土地中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして瑕疵担保責任に基づく損害賠償および説明義務違反の債務不履行に基づく損害賠償を求めたところ、これが認容された事例

 

東京地方裁判所判決/平成18年(ワ)第8670号

平成20年7月8日

損害賠償請求事件

【判示事項】    土地建物の売買契約実行後、買主が売主に対し、土地中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして瑕疵担保責任に基づく損害賠償および説明義務違反の債務不履行に基づく損害賠償を求めたところ、これが認容された事例

【参照条文】    民法570

【掲載誌】     判例タイムズ1292号192頁

          判例時報2025号54頁

       主   文

  1 被告は,原告に対し,5億8970万5850円及びこれに対する平成18年5月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

  2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

  3 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

  4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。

【解説】

 1 事案の概要(判示事項に関するものに限る)

 原告は,被告から購入した宅地の中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして,瑕疵担保責任に基づき,被告に対し,損害賠償を求めた。

 被告は,これに対して,上記埋設物及び汚染土壌はいずれも本件土地の瑕疵にはあたらないと反論した。

 2 本判決

 (1) 地中埋設物の瑕疵該当性について

 本判決は,まず,地中埋設物の瑕疵該当性について,「大量の廃棄物……が存在する土地上に,これらの埋設物をそのままにして建物を建築することができないことは明らかであるから,本件埋設物は建物建築の基礎工事の支障となるものというベきである……。そして,除去しなければならない埋設物が存在する場合には,同埋設物の存在は土地の瑕疵にあたる。」と判示した。

 その上で,本判決は,被告の次の主張,すなわち,原告が本件土地の購入後に建築した建物の建築面積部分には,本件埋設物は存在しなかったのであるから,本件埋設物は建物建築の基礎工事に支障を生じさせるものではなかったとの主張について,次のとおり判示した。

 「地中の埋設物が建物建築の基礎工事に支障を生じさせるか否かを判断するにあたっては,既に建築済みの建物のみを考慮するのではなく,将来建築される可能性のある建物をも考慮するのが相当であるところ,本件土地の所有者である原告は,将来,本件土地のいずれの地点においても建物を建築することが可能なのであるから,本件土地中に存在する……埋設物は,いずれの地点に存在するものであっても,建物建築の基礎工事に支障を生じさせるものというべきである。」

 また,本判決は,被告の次の主張,すなわち,地中の埋設物が建物建築の基礎工事に支障を生じさせるか否かを判断するにあたって,将来建築される可能性のある建物をも考慮するのが相当であるとしても,本件土地上に将来建物を建築する場合には,建ぺい率及び容積率によってその建築面積が制限され,本件土地のすべての平面的範囲内において建物を建築することはできないのであるから,本件埋設物のうち,本件土地の建ぺい率及び容積率によって制限される平面的範囲内に存在する埋設物以外の埋設物は,建物建築の基礎工事に支障を生じさせるものではないとの主張について,次のとおり判示した。

 「本件土地の所有者である原告としては,1旦建築した建物……の一部又は全部を取り壊して新しい建物を建築することも可能なのであるから,本件土地の建ぺい率及び容積率によって制限される平面的範囲内に存在する埋設物だけでなく,本件土地の全ての平面的範囲内に存在する埋設物が,本件土地の瑕疵に該当しうると解するのが相当である。」と判示した。

 (2) 汚染土壌の瑕疵該当性について

 本判決は,まず,汚染土壌の瑕疵該当性について,「……これらの物質により汚染された土壌が,ダイオキシン類対策特別措置法に基づいて定められた環境基準値や土壌汚染対策法施行規則において定められた環境基準値を超過したものである場合には,当該汚染の拡散の防止その他の措置……をとる必要があるから,環境基準を超過した汚染土壌が本件土地の瑕疵に該当することは明らかである。」と判示した。

 その上で,本判決は,被告の次の主張,すなわち,本件汚染土壌のうちの一部(本判決添付の別紙図面17S-4の区画部分の汚染土壌)は,そのダイオキシン類検出値がダイオキシン類対策特別措置法に基づいて定められた環境基準値を超過していないから,本件土地の瑕疵にはあたらないとの主張について,次のとおり判示した。

 「ダイオキシン類等の土壌汚染の原因物質が降雨や地下水の影響等で土中において拡散しやすいことは容易に想定されるところ,別紙図面の17S-4は,上記基準値を大幅に上回った同図面17S-2,5,6に近接した区画である上,ダイオキシン類の発生原因と考えられる焼却灰,廃プラスチック及び金属屑等の埋設物が,同図面17S-4においても同図面17S-2,5,6と同様に発見されているし(その意味では,これらの区画において,焼却灰,廃プラスチック及び金属屑等を1体として廃棄したものと推測される。),同図面17S-4のダイオキシン類検出値は,0.7pg/g-TEQであって,上記基準値である1.0pg/g-TEQを若干下回っているにすぎない。そうすると,別紙図面17S-4の汚染土壌は,同図面17S-2,5,6の汚染土壌とともに,1体として汚染されているというベきであり,たまたま調査地点において検出値が基準値を下回っていたからといって,この部分の土壌が汚染されていないとか瑕疵でないとかいうことはできない。」