司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担でその履行が入会の要件となっていないものが司法書士法(平成14年改正前のもの)15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たるか
最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第1830号
平成23年4月22日
不当利得金返還請求事件
【判示事項】 司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担でその履行が入会の要件となっていないものが司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たるか
【判決要旨】 司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担であっても、その履行が入会の要件となっていないものは、その負担が新たに入会しようとする者の入会を事実上制限するような効果を持つほど重大なものであるなどの特段の事情のない限り、司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たらない。
【参照条文】 司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15
司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15の2-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事236号481頁
裁判所時報1530号119頁
判例タイムズ1348号106頁
判例時報2114号47頁
金融法務事情1930号90頁
【解説】
1 本件は,被告大阪司法書士会の会員であった原告が,被告に入会する際に納付した大阪司法書士会館維持協力金20万円について,被告にはこれを取得する法律上の原因がないと主張して,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,20万円及びこれに対する民法704条前段所定の利息の支払を求めた事案である。
2 被告は,昭和58年に大阪司法書士会館を竣工し,当時会員であった者から会館建設特別会費を徴収するなどして,その建設費用を賄ったが,昭和63年4月以降,総会決議により定めた会館管理運営規則に基づき,被告に新たに入会する者から会館維持協力金20万円を徴収している。同規則には,被告に新たに入会する者は入会に際して会館維持協力金20万円を納付しなければならない旨,また,会館維持協力金は延納又は分割払の方法により納付することができる旨などが定められている。
原告は,平成9年2月,司法書士名簿ヘの登録申請を行うとともに,被告に対して会館維持協力金20万円を納付し,被告に入会した者であり,平成18年に被告を退会した。
原告は,被告が新入会員から徴収している会館維持協力金(以下「本件会館維持協力金」という。)は,司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15条7号(現行司法書士法53条6号)所定の「入会金その他の入会についての特別の負担」に該当するから,これを会則に定めて法務大臣の認可を受ける必要があったにもかかわらず,規則に定められているのみで,法務大臣の認可を受けていないから,原告にはその納付義務がなかったなどと主張して,本件訴訟を提起した。
被告は,①本件会館維持協力金は任意の納付が期待されるものにすぎず,被告に新たに入会する者にその納付義務が課されるものではなく,また,仮に被告に新たに入会する者にその納付義務が課されるものであったとしても,②入会金のようにその納付が入会の要件になっているものではないから,「入会についての特別の負担」に当たらない,若しくは,③既存会員からも同程度の会館建設資金を徴収しているから,全ての会員に課される1般的な負担であって,「入会についての特別の負担」に当たらないなどと主張して,本件請求を争った。
3 1審,原審とも,本件会館維持協力金は,被告に新たに入会する者にその納付義務が課されるものであり,そのようなものである以上,「入会についての特別の負担」に該当するというべきであるとして,原告の本件不当利得返還請求を認容すべきものとした。
被告が上告受理の申立てをし,最高裁では,本件会館維持協力金は,被告に新たに入会する者にその納付義務が課されるものであることを前提とし,上記②の点,すなわち,本件会館維持協力金は,入会金のようにその納付が入会の要件になっているものではないから「入会についての特別の負担」に当たらないというべきか否かという問題が採り上げられた。