東京高等裁判所判決/平成8年(ネ)第3302号
平成9年9月24日
契約金等、不当利得金返還請求控
【解説】
Xはかねてから日本人男性と中国人女性との結婚の斡旋仲介を業としていたところ、平成6年夏にYから中国人女性を結婚相手として斡旋するよう申し込まれ、Yとの間で仲介契約を締結し、Yから総費用として270万円の支払を受けたうえ、結婚の暁には成婚料として30万円の支払を受けることが約された。
YはXの斡旋により中国に出掛けて3回見合いし、A女との婚姻届け出にまでこぎつけた。
XはYに対し成婚料30万円と予想外の出費の立替金32万円余の支払を求めたが、YはA女が来日していないから未だ成婚料を支払う必要がないこと、Xの立替金なるものは本来の総費用に含まれているものであることなどを理由にXの請求を拒み、かえって、Yは、Xにおいては資格がないのに官公署に提出する書類等を作成することを業務としており、行政書士法19条1項に違反しており、仲介契約は公序良俗に反するものであり、仮にそうでないとしてもXの債務不履行により仲介契約は解除されたと主張し、既払金270万円の返還ないし損害賠償を求め、別訴を提起した。
第1審はXの請求を認容し、Yの請求を棄却した。
本控訴審判決は原判決の判断を維持し、Yの控訴を棄却した。
本判決は成婚料請求に関しては、Yの戸籍にA女が入籍した以上、Yに支払義務が発生すると解するのが相当であること、もっとも同居に至らなかったことについてXの責めに帰すべき事由がある場合、Yには支払拒絶権があるが、本件においてそのような事由は存せず、かえってYの側において結婚生活を行う意思を失い、Xと連絡を絶ってしまうなど、その責めに帰すべき事由があることを判示した。
そして、Yの訴えの請求原因である行政書士法違反等の主張に関しては、本件仲介契約はYと中国人女性との結婚の斡旋仲介を主たる目的とし、官公署への書類の提出は本来の目的を達成するために付随的に行われたにすぎず、Xが書類作成を業としているものではないとし、債務不履行の主張も含めて排斥した。
本件は、外国人女性との結婚仲介業者の成婚料等の請求という珍しい事案であり、報酬支払条件の成否に関し、さらには行政書士法違反の主張に関する判示において参考になるところがあると思われる。
訴事件
【判示事項】 1 中国人女性との結婚の斡旋による成婚料等の請求が認容された事例
2 中国人女性との結婚の斡旋業が行政書士法19条1項に違反しないとされた事例
【参照条文】 民法656
民法648
民法90
行政書士法19-1
【掲載誌】 判例タイムズ981号142頁
判例時報1649号119頁