原告の娘は,被告が管理する病院に入院していたが,同病院の看護師であったA子が夫であるB夫に,原告の娘の病状等を漏洩し,B夫が原告にそのことを原告に告知したことにより,原告は,秘密が漏洩されたことを知り,精神的苦痛を受けたとして,被告に対し慰謝料の支払を求めた。
大分地方裁判所判決/平成21年(ワ)第1426号
平成24年1月17日
損害賠償請求事件
なお,原告とA子及びB夫との間では,和解が成立している。
判決は,原告の秘密を,B夫に告げて漏洩し,口止めもしなかったとのA子の行為は,夫婦間で私的に行われた行為であり,A子の使用者である被告の事業の執行(民法715条)に該当しないとし,また,被告は,A子に対する監督義務を履行していたものと認められ,A子が守秘義務に違反して原告に損害を与えたことについて,被告に過失があるとは認められないとして,請求を棄却した。
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載