甲社株売買は、納税者自身が、取引の当事者として、いったん放出5社から買い受けて、これを譲受人に売却したものと解するのが相当であるとして、甲社株の売買は、放出5社と譲受人との間で直接売買されたものであるとの納税者の主張が、排斥された事例
東京高等裁判所判決/平成15年(行コ)第5号
平成16年2月5日
所得税更正処分等取消請求控訴事件
【判示事項】 甲社株の売買は、放出5社と譲受人との間で直接売買されたものであるとの納税者の主張が、確かに、株式売買約定書には、放出5社と譲受人との間の直接売買である旨記載されており、また、甲社株の購入代金の融資に関する金銭消費賃貸契約書、振込指定書兼領収書等、本件取引に関連する各文書にも、甲社株の売買が放出5社と譲受人の間の直接売買であることを前提とした記載がなされているが、甲社株売買は、納税者が、公開後の値上がりが確実に予想されていた甲社株を、甲社の部次長以上の役職員と納税者とのつながりのある者らに取得させるために、行ったものであって、放出5社の選定、売買代金の決定、譲渡を要請する株式数の決定、譲渡の承諾を得るために交渉も納税者自ら又は他者に指示をして行っており、このような納税者の行動は、他人間の売買取引を仲介あっせんするものとしては理解し難いものであり、本件甲社株の譲渡手続の態様、代金の決済に関する関係者の合意、決済の方法、譲渡による利益の帰属等に照らしても、甲社株売買は、納税者自身が、取引の当事者として、いったん放出5社から買い受けて、これを譲受人に売却したものと解するのが相当であるとして排斥された事例
【判決要旨】 省略
【掲載誌】 税務訴訟資料254号順号9551