インターネット上に「**」と称する画像共有の機能を有するデータ保管庫を開設し,運営,管理していた被告人らの行為につき,被告人らとわいせつ画像等の投稿者らとの間には,わいせつ画像等を公然と陳列することについての意思の連絡が欠けるとして,投稿者らとの共同正犯を否定したものの,被告人らの行為は,それ自体,わいせつ画像等の公然陳列の作為による正犯行為に当たるとした事例
東京高等裁判所判決/平成29年(う)第1063号
平成30年2月6日
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
【判示事項】 インターネット上に「**」と称する画像共有の機能を有するデータ保管庫を開設し,運営,管理していた被告人らの行為につき,被告人らとわいせつ画像等の投稿者らとの間には,わいせつ画像等を公然と陳列することについての意思の連絡が欠けるとして,投稿者らとの共同正犯を否定したものの,被告人らの行為は,それ自体,わいせつ画像等の公然陳列の作為による正犯行為に当たるとした事例
【判決要旨】 被告人らは,「**」を運営,管理することにより,ユーザーがアップロードした画像等を,その中に相当数のわいせつ画像等が含まれていることを知りながら,これらを受け入れてサーバーに記憶,蔵置させた上,被告人が代表取締役を務める会社が運営していた掲示板等により「**」に記憶,蔵置されたわいせつ画像等をダウンロードするのに必要な合言葉が容易に入手し得ることと相まって,不特定多数のユーザーがこれらのわいせつ画像等をダウンロードし得る状態に置き,その一部を有償でダウンロードさせたものであり,わいせつ画像等を作為によって公然陳列した場合に当たるというべきである。
【参照条文】 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7-6前段
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2-3
刑法175-1前段
【掲載誌】 高等裁判所刑事裁判速報集平成30年93頁