中小企業等協同組合法第38条の2第2項にいう理事の重過失を認むべきとした事例 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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最高裁判所第2小法廷判決/昭和31年(オ)第74号

昭和34年7月24日

損害賠償請求事件

【判示事項】    中小企業等協同組合法第38条の2第2項にいう理事の重過失を認むべきとした事例

【判決要旨】    中小企業等協同組合法に基く組合の理事が、組合員に40万円の融資をするに際し、組合に現金がないため同額の融通手形を振出したについて、理事が右組合員において満期に手形金の払込をするものと信ずるにつき思考するに足る事情はなく、しかも手形振出の時以降組合の取引銀行における当座預金残高は終始5万円を出ず、その後10万円の小切手の不渡、当座取引の解約、交換所の取引停止処分が相次ぎ、銀行からの借入金500余万円も焼く半額の返済がされただけで新たな融資も実現が困難であつた等の事実にてらし、組合が満期に手形金の支払をすることが極めて困難な状態にあり、特段の事情のないかぎり理事においても手形振出当時にかかる状態を当然に予見しえたものと認められる以上、これを予見しなかつたとすれば、理事には中小企業等協同組合法第38条の2第2項にいう重大な過失があつたものと解すべきである。

【参照条文】    中小企業等協同組合法38の2

          商法266の3

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集13巻8号1156頁