公益通報を目的として行われた内部通報に付随して行われた行為について,地方公務員に対する停職3日の懲戒処分が取り消された例
京都地方裁判所判決/平成28年(行ウ)第20号
令和元年8月8日
【判示事項】 1 いわゆる公益通報を目的として行われた内部通報に付随して行われた行為について,地方公務員である原告Xに対する停職3日の懲戒処分が取り消された例
2 地方公務員につき地方公務員法29条1項各号の懲戒事由がある場合に,懲戒処分を行うかどうか,行うとしていかなる処分を選ぶかは,平素から庁内の事情に通暁し,部下職員の指揮監督に当たる懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきであり,懲戒権者は,懲戒事由に該当すると認められる行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,当該公務員の上記行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴,選択する処分が他の公務員および社会に与える影響等,諸般の事情を考慮して,懲戒処分をすべきかどうか,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定する裁量権を有しており,裁判所が上記処分の適否を審査するに当たっては,懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか,またはいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し,その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく,懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を逸脱または濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものであるとされた例
3 本件懲戒処分は社会通念上著しく妥当を欠き,その裁量権を逸脱または濫用した違法があるとされた例
4 Xによる非公開情報である児童記録データの複写記録の持ち出し行為は,いわゆる公益通報を目的として行われた内部通報に付随する形で行われたものであって,少なくともXにとっては,重要な証拠を手元に置いておくという証拠保全ないし自己防衛という重要な目的を有していたものであり,このほかに,当該複写記録にかかる個人情報を外部に流出することなどの不当な動機,目的をもって行われた行為であるとまでは認められないのであるから,その原因や動機において,強く非難すべき点は見出しがたいとされた例
【掲載誌】 労働判例1217号67頁