最高裁判所大法廷決定/昭和42年(し)第78号
昭和44年12月3日
『昭和44年重要判例解説』行政法事件
捜索差押許可の裁判の取消ならびに差押処分の取消を求める準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
【判示事項】 1、国税犯則取締法2条により裁判官がする差押等の強制処分の許可の性質とこの許可自体に対する不服申立の許否
2、国税犯則取締法による国税犯則事件の調査手続の性質と同法2条により収税官史がした差押処分に対する不服申立方法
3、国税犯則取締法2条により裁判官がした強制処分の許可自体に関する違法の主張方法
【判決要旨】 1、国税犯則取締法2条により裁判官がする臨検、捜索または差押の許可は、裁判所または裁判官が訴訟の当事者に宛てて行う訴訟法上の通常意義における裁判ではなく、職務上の独立を有する裁判官が、公正な立場において、収税官吏の請求に基づき、収税官吏が右の強制処分を実施することが適法であるかどうか等を事前に審査したうえ、これを肯認するときに許可状を交付することによってその強制処分を適法に行うことを得しめるものであって、強制処分を受ける者に対して直接に効力を及ぼすものではなく、このような行為については、不服申立に関する明文の規定がないかぎり、独立の不服申立を認めない趣旨と解すべきであり、したがって、刑訴法429条の準抗告の規定は準用されない。
2、国税犯取締法による国税犯則事件の調査手続の性質は、現行法制上、1種の行政手続であって、刑事手続(司法手続)ではなく、同法2条により収税官吏がした差押処分に対する不服申立は、行政事件訴訟の方法によるべきであって、刑訴法433条の準抗告の規定は準用されない。
3、国税犯則取締法2条により裁判官がした強制処分の許可に関して法律上の不服の理由を有する者は、行政事件訴訟により、その許可自体の違法を理由として、その許可により実施された強制処分の取消を求めることができる。
【参照条文】 国税犯則取締法2
刑事訴訟法218
刑事訴訟法429
日本国憲法32
国税犯則取締法
行政事件訴訟法8
行政不服審査法4-1
国税通則法76
国税通則法79
国税通則法86
刑事訴訟法430
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集23巻12号1525頁