退職勧奨を拒否した従業員を大阪から名古屋に転勤させる命令は違法無効であり、介護ハラスメントにもあたる(慰謝料50万円)~C株式会社事件
大阪地方裁判所判決平成23年12月16日労働判例1043号15頁
配置転換無効確認等請求事件
C株式会社事件
【判示事項】 1 本件雇用契約書には,原告Xの勤務地を大阪に限定する旨の条項が存在しないこと,本件雇用契約書および就業規則には業務の必要性がある場合には異なる場所へ転勤させる旨の規定が設けられていること,Xは,被告Y社に対し,雇用契約書上の同条項の削除を求めなかったこと,Xは,西日本地区責任者との面談において,Xには高齢の母親がおり,伯父も入院していること,家のローンがあることから大阪以外での勤務が困難である旨話をするなど,勤務地限定の合意があることを前提とした話をしていないこと,Y社においては,最終的に従業員の同意を得ることはあるとはいえ,勤務場所を異にする配転が行われていたことからすると,Xが主張するような勤務地限定の合意があったとは認められないとされた例
2 必ずしもXの営業職としての資質に問題があったとまでは認められないこと,Xを名古屋営業所に配転する業務上の必要性および合理性があるとは認めがたいことから,本件配転命令は,配転命令権を濫用したもので無効であり,Xは,名古屋営業所において勤務する雇用契約上の義務を負っていないとされた例
3 Y社は,本件解雇を行うに際して,整理解雇の有効性を十分に認識し,整理解雇の有効要件ごとにその充足性を慎重に検討して整理解雇を行ったと推認できるのであって,本件解雇に際してのY社の判断について明白重大な誤りがあったとまでは認めがたいこと,Y社は,Xに対して,本件仮処分決定に従って金員を支払っていること,Y社は,本件仮処分決定後,本件解雇の意思表示を撤回し,XとY社との間の雇用関係が回復していることから,本件解雇をもって損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有していたとまで評価することはできないとされた例
4 本件配転命令は,業務上の必要性および合理性がないにもかかわらず,本件仮処分決定を契機としたXの復職に当たって,不当な動機目的をもってなされたものと推認することができ,損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有しているといえ,不法行為に該当するとされた例
5 本件配転命令は不法行為に該当するが,Xについては,勤務地限定の合意があったとは認められず,かえって,雇用契約書およびY社の就業規則によると転居を伴う異動があり得ることが規定等されていること,Y社は,社内規定では認められないにもかかわらず,Xが申請した新大阪・名古屋間の新幹線利用にかかる通勤費を全額負担しており,本件配転に伴って,Xに対して一定の配慮をしていること,本件配転命令後,名古屋営業所で勤務するXは,毎日ほぼ定時に退社しており,大阪営業所で就労していた時と帰宅時間が著しく異なる(遅くなる)という状況にあったとは認められないこと,Xの母親は平成22年9月22日に死亡したこと,Xの伯父は入院中であり,Xが毎日介護する必要があるとはうかがわれないことから,Xの生活上の不利益はさほど大きいとは認められないことを総合的に勘案すると,Xの被った精神的損害の慰謝料として50万円が相当であるとされた例