未開場のゴルフ会員権をクレジット契約により購入した場合にゴルフ場の開場の遅延はクレジット代金支払 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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未開場のゴルフ会員権をクレジット契約により購入した場合にゴルフ場の開場の遅延はクレジット代金支払停止の抗弁とはならないとされた事例

東京高等裁判所判決平成10年11月19日

クレジット代金等請求控訴事件

【判示事項】 未開場のゴルフ会員権をクレジット契約により購入した場合にゴルフ場の開場の遅延はクレジット代金支払停止の抗弁とはならないとされた事例

【判決要旨】 1 本件契約条項10条1項の支払停止の抗弁となり得るのは、販売業者との売買契約について生じている事由で、直接販売業者に対して代金を支払うとすれば、その支払いを拒絶することを正当化するものが該当するから、本件ゴルフクラブ入会契約(本件ゴルフ会員権購入契約)において、支払停止の抗弁となり得るのは、ゴルフ会員権購入者がクレジット契約を利用することなくゴルフ場経営会社とゴルフクラブ入会契約を締結し、直接ゴルフ場経営会社に入会金および預託金を支払うべきものであったとすれば、ゴルフ場経営会社に対する支払いを拒絶することを正当とする事由がある場合に限られる。

2 未開場のゴルフ会員権を有する会員は、ゴルフ場経営会社に対し、ゴルフ場を完成させて優先的に利用させるよう請求する権利を有するが、この権利は入会金および預託金を支払って初めて取得し得るものであり、未開場のゴルフクラブに入会するためにゴルフクラブ入会契約を締結したゴルフ会員権購入者は、ゴルフ場が契約時において開場していないことをもって、入会金および預託金の支払いを拒むことはできないことはいうまでもないことであって、その後、ゴルフ場の開場が遅延し、あるいは開場の目途が立っていないことは、ゴルフ場経営会社がゴルフ会員権購入者に対して会員としての地位を取得させるというゴルフクラブ入会契約上の債務を履行した後に生じた事由であるから、本件契約条項10条1項にいう「商品の販売について、販売会社に対して生じている事由」には該当しない。

【参照条文】 民法555

       民法415

       割賦販売法30の4-1

【掲載誌】  金融・商事判例1064号28頁