最近の育児ハラスメント事案~学校法人福原学園(九州女子短期大学)事件1審判決 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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福岡地方裁判所小倉支部判決/平成24年(ワ)第1329号

 平成26年2月27日

労働契約上の地位確認等請求事件

【判示事項】 1 契約期間を1年とする有期雇用で採用された大学教員の原告Xの雇止めについて,被告Y学園における有期雇用の教員の雇用形態が,複数年にわたる一貫した学生の教育を予定していたこと,Y学園における規程の文言や採用面接時の説明等からすると,Xにおいて本件労働契約が少なくとも3年間は継続して雇用され,その間に2回更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認めるのが相当であるとされた例

2 Xの健康状態や,育児,事務処理上の問題点等を理由とした雇止めについて,いずれも客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当でないとされた例

3 本件係争中になされた予備的雇止めについて,契約期間の満了時における合理的期待の有無については,最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情を総合的に勘案すべきものと解されるところ,本件労働契約におけるXの雇用継続への合理的な期待を基礎付ける事情について変更はみられず,その他新たにこれを否定するような特段の事情も見当たらないとされた例

【掲載誌】  労働判例1094号45頁

但し,上告審は,3年の更新限度期間満了後に期間の定めのないものとなったとは言えないとして,地位確認及び限度期間満了後の賃金請求を認容した部分の原判決を破棄し,同部分の請求を棄却した。