東京地方裁判所立川支部判決/平成27年(ワ)第2386号
平成29年1月31日
地位確認等請求事件
TRUST事件
【判示事項】 1 建築測量や墨出し工事等に従事していた原告女性Xが,妊娠によって当該業務の継続が難しくなったとして,被告Y社の代表者乙山の提案で派遣会社への登録を受け入れたところ,それによって退職合意があったとするY社の主張につき,妊娠中の退職の合意があったか否かについては,特に当該労働者につき自由な意思に基づいてこれを合意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか慎重に判断する必要があるとして,退職届の受理,退職証明書の発行等の客観的,具体的な退職手続きがなかったことや,上記提案から約6か月経ってY社から退職扱いとなっている旨の説明を受けたなどの事情から,退職合意の存在が否定され,労働契約上の権利を有する地位が認められた例
2 Xが,出産後に職場復帰するまでの休職合意は存在していたとして,Y社から退職扱いとなっていることを伝えられた日以降,Y社の責任でXの職場復帰が確定的に不可能となったものであり,民法536条2項に基づき賃金債権が発生するとして(ただし,産前6日間と産後8週間を除く),同日以降の未払賃金債権が認容された例
3 Xが,自由意思で退職合意したものと認めるに足りる合理的理由が客観的に認められない以上,Xを退職扱いとしたY社に過失があるとして,不法行為の成立が肯定されたが,他方で,Y社がXに一方的に不利益を課す意図はなかったとして,慰謝料として20万円が認容された例
マタニティハラスメント、育児介護ハラスメントの事案である。
【掲載誌】 労働判例1156号11頁