最高裁判所第3小法廷判決昭和39年6月30日
所得税法違反、公務執行妨害
【判示事項】 1 所得の申告と憲法第38条第1項にいう「自己に不利益な供述」。
2 所得税逋脱額の算定に関する第1審判決の違法が、判決に影響を及ぼすこと明らかである場合にあたらないとされ、また、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められないとされた事例。
【判決要旨】 1 申告納税制度の下における所得の申告の如く、憲法の規定する納税義務を前提とし、その税額を決定するために所得の申告を求めるが如きは、憲法第38条第1項にいう「自己に不利益な供述」に当らない(昭和27年(あ)第838号同32年2月20日大法廷判決、刑集11巻2号802頁3照)。
2 原判決が、被告人と共謀して所得税を逋脱したとされている者が、組合員として組合から支給されていた給与所得に対し源泉徴収により納付した税額を逋脱額の算定に際し差し引かなかつた第1審判決は違法であると認めながら、右の差し引かれるべき額が逋脱額に比し些少であるから、判決に影響を及ぼすこと明らかである場合に当らないと判断したことは、相当であり、仮りに、右違法が判決に影響を及ぼすべきものとしても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められないから、論旨は理由がない。
【参照条文】 所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)26-1
所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)69-1
憲法38-1
刑事訴訟法397
刑事訴訟法411
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事151号547頁