最高裁判所第3小法廷判決平成6年12月20日
『平成6年重要判例解説』労働法事件
倉田学園事件
不当労働行為救済命令取消請求上告事件
【判示事項】 一 組合ビラの配布が形式的には就業規則に違反するようにみえる場合でも、その内容、配布の態様等に照らして、その配布が学校内の職場規律を乱すおそれがなく、また生徒に対する教育的配慮に欠けるおそれのない特別の事情が認められるときは、実質的には右規定の違反になるとはいえず、したがって、これを理由として前執行委員長を懲戒処分とすることは許されないとされた例
二 組合掲示板の設置を求める組合の要求に対し、校内で生徒の目にふれないところはないし、どのような掲示がなされても学校として介入できないから許可できないとの一方的かつ原則論的な主張に終始して、交渉事項についての実質的な検討に入ろうとしない被上告人(学園)の対応が正当な理由を欠き団体交渉の拒否に当たると認められた例
三 被上告人が組合の執行委員を学級担任に選任しなかったことが不利益取扱いの不当労働行為に当たると認められた例
四 組合員に対する被上告人の退職勧奨が支配介入の不当労働行為に当たるかどうかの判断につき、原審が別件の退職勧奨の事例を基にしてその成立を否定したもので違法と認められた例
五 右4点につき不当労働行為の成立を認めた一審判決を取消した原審の判断が違法として破棄された例
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集48巻8号1496頁