移籍先の採用拒否と移籍元の退職の効力 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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東京地方裁判所判決平成5年6月11日

『平成5年重要判例解説』労働法事件

下馬生協・生協イーコープ事件

雇用関係存在確認等請求、独立当事者参加、雇用関係存在確認等請求事件

【判示事項】 一 雇用関係が成立するためには、当事者間の意思の合致だけでは足りず、特段の事情のない限り、就労の場所・態様・賃金等の重要な要素について確定的な合意がなされていることが不可欠とされた例

二 雇用関係が成立したと言い得る特段の事情の存在が否定され、移籍先(被告生協)との雇用関係の成立が否定された例

三 原告の参加生協に対する退職の意思表示は、被告生協との雇用関係が成立しることが条件であり、条件が未成就であった以上、両者間に雇用関係が存続しているとされた例

四 原告による参加生協に対する雇用関係存在確認及び賃金請求の反訴提起は、参加生協に対する労務提供の意思があることを申し出たものであり、本件反訴状が参加生協に送達された時点以降においては、原告の労務不提供は参加生協の受領拒絶に基づくものと認められるから、参加生協は、以降の賃金支払い義務を負うとされた例

【掲載誌】  労働関係民事裁判例集44巻3号515頁

       判例時報1469号153頁

       労働判例634号21頁