掲示板の貸与に関し、掲示事項についての許可と掲示物の届出制等を条件とすることは不合理とはいえず、一方組合が右条件の受諾を拒否した結果併存組合と異なる取扱いになったとしても、不当労働行為にはあたらないとした原判決が維持された例
最高裁判所第1小法廷判決平成元年1月19日
不当労働行為救済命令取消請求上告事件
【判示事項】 一 朝礼における部長発言が支配介入にあたるものとした中労委命令を適法なものとした原判決が維持された例
二 組合の無許可ビラ配布に対する警告が不当労働行為にあたるとした中労委命令を適法なものとした原判決が維持された例
三 組合集会のための食堂使用および屋外集会の開催の不許可は、施設管理権行使の範囲内にあり、不当労働行為にあたらないとした原判決が維持された例
四 夏季一時金交渉における「さし違え」条件の内容は不合理なものとはいえず、また、右条件に固執して妥結を遅らせる意図を有していたとはいえないから、右条件の受諾を拒否した結果一時金についての妥結が遅れ、併存組合の組合員・非組合員よりその支給が四日間遅れたとしても、不当労働行為にはあたらないとした原判決が維持された例
五 掲示板の貸与に関し、掲示事項についての許可と掲示物の届出制等を条件とすることは不合理とはいえず、一方組合が右条件の受諾を拒否した結果併存組合と異なる取扱いになったとしても、不当労働行為にはあたらないとした原判決が維持された例
【判決要旨】 使用者がその企業内に併存する甲乙二つの労働組合との間の組合掲示板貸与に関する交渉に当たり、両組合に対して同一の貸与条件を提示し、これを受け入れた甲組合に対しては組合掲示板を貸与し、これを拒否した乙組合に対してはその貸与を拒否した場合において、乙組合に対して組合掲示板の貸与を拒否した使用者の行為は、右貸与条件の内容が、掲示事項は組合の各種集会の通知等の事項その他使用者の許可を得た事項に限ること及び掲示物につき事前届出制とすることなどであって、正常な労働組合であれば受け入れられないような不合理なものとはいえないときは、労働組合法7条3号の不当労働行為に当たらない。
【参照条文】 労働組合法7
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事156号65頁
金融・商事判例816号41頁
労働判例533号7頁