取締役の説明義務違反を理由としてされた株主総会決議の取消訴訟において説明義務違反は認められないと | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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取締役の説明義務違反を理由としてされた株主総会決議の取消訴訟において説明義務違反は認められないとして請求が棄却された事例

 

東京地方裁判所判決平成16年5月13日

『平成16年重要判例解説』商法3事件

株主総会決議取消請求事件

東京スタイル決議取消訴訟事件

【判示事項】 1 取締役の説明義務違反を理由としてされた株主総会決議の取消訴訟において説明義務違反は認められないとして請求が棄却された事例

2 議長の議事運営方法は不公正であり適切さを欠いていたが決議の取消しを認めざるを得ないほど著しく不公正なものとまで認めることはできないとされた事例

【判決要旨】 1 株主総会における取締役等の説明義務の範囲と程度は、株主が会議の目的たる事項の合理的な理解および判断をするために客観的に必要と認められる事項に限定され、その判断基準については、株主の質問内容と決議事項との関連性や具体的になされた会社側の説明の内容さらには質問した株主がすでに保有する判断資料の有無や程度を総合的に考慮して、審議全体の経過に照らし、平均的な株主が議案に対する合理的な理解および判断を行うことができる状態に達しているか否かにより、説明義務を尽くしたといえるかどうかが判断されるが、本件の事実関係のもとにおいては、被告側の説明について、説明義務違反があったとまで認めることはできない。

2 本件株主総会における被告の議長による議事運営方法が不公正であり適切さを欠いていたことは否定できないが、被告の議長がそのような議事運営方法を採ったことについて、被告の経営状況についてすでに十分な知識、情報を得ており、本件の各決議事項について十分な情報を持っていると認められ、しかも事前に賛成の意向まで表明している原告の関係者からの質問が繰り返しなされた結果、被告の議長としては、一時的な混乱状態のもとで、すでに原告の関係者に対しては必要な説明はなされていると即断して、原告の関係者からなされた質問を打ち切りあるいは無視するといった措置をとるに至ったものであり、原告の一括質問状に対する回答が行われ、本件各決議についての実質的関連事項の説明はそれぞれの決議の際にはすでになされているものと認められることをも併せ考慮すると、本件各決議に際しての被告の議長の議事運営方法が、決議の取消しを認めざるを得ないほどに著しく不公正なものであったとまで認めることはできない。

【参照条文】 商法237-3

       商法247-1

【掲載誌】  金融・商事判例1198号18頁