『医事法入門』
有斐閣、本文約280ページ。
論点落ちを発見しました。
・民法改正での医療契約、または役務提供契約
・無断の手術は身体への侵襲行為となり、刑法上の傷害罪となり得るが、違法性阻却事由として正当業務行為となる場合がある。
・薬事法に関する記述が不足している。
・民事および刑事事件での「鑑定」は医師が診察しなければならない。
・これに対して、「私的な鑑定」や「意見書」は、必ずしも、医師が診察しているわけではない。
例えば、民事の交通事故に基づく損害賠償事件での保険会社の側の医師の意見書など。
・また、民事訴訟法での専門委員、民事調停事件での調停委員としての場合は、診察する場合も診察していない場合の両方がある。
・労働者災害補償保険法や労働安全衛生法などの「産業医」、
・労働者が、雇い入れ時点、定期的に、健康診断を受けなけなければならない受診義務
『医事法六法』と『医事法判例百選』を参照しながら、上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第1章 医事法総論
1 医事法の特徴
日本で医事法が発達していない理由の1つに、アメリカの主要ロースクールのローレビューに医事法の論文が掲載されることが少ないことが理由として挙げられています。
しかし、現在では、アメリカやヨーロッパのロースクールの紀要・ローレビューに掲載された論文や裁判例は、原文(例えば、英語)のままで、レキシス=ネキシス、ウェストローという検索サイトで、検索することが可能です。
裁判例や論文の全文検索、キーワード検索、引用された論文、他の論文を引用している論文、論文に掲載されている裁判例も検索可能です。
2 生命倫理
3 患者の権利
4 医師と患者の関係
第2章 医療従事者
1 医療行為
2 医療従事者
それぞれの医療従事者の職務の内容・定義が書いてありませんでした。
3 医師の業務に関する問題点
第4章 診療情報の保護
情報公開法についての論点が抜けている。
医師法7条参照。
第5章 感染症対策、保健法規
1 感染症予防法
3 予防接種法
4 保健法規
健康増進法など
第6章 人の出生に関わる問題
1 生殖補助医療
2 人工妊娠中絶
第7章 医学研究と医薬品
1 医学研究の一般原則
2 医薬品
薬事法についての論述が若干不足しているようである。
3 ヒトクローン
ヒトクローン規制法
4 動物実験
第8章 人体組織、遺伝子、性の決定
1 人体組織
2 遺伝子
3 性の決定
第9章 医療事故
1 医療事故の動向
2 医療事故の法的構成
・医師など医療従事者の注意義務の水準論、最高裁判例
医療水準論の論述はあっさりまとめているが、最高裁判例の判決文を読むと、個々の事例に応じて、判決の表現・言い回しがかなり異なっている。