山田 幸男『公企業法』有斐閣・法律学全集13
1957年8月発行
A5判 , 360ページ
オンデマンド定価 6,048円(本体 5,600円)
出版社の説明によると「企業概念を明確にし、特許企業、公益事業、特殊会社等の法的性格を明らかにすると共にそれら組織形態の最近の新動向を示した著。」
行政法の考えによる、鉄道などは、鉄道の施設は公物営造物、運賃を受けて運送するという鉄道の運送役務(サービス)は公企業に該当する。
この考え方は、ドイツ行政法やフランス行政法では、通説のようである。
また、この考え方は、日本もしくは外国法において、国(公)営企業については、現在でも妥当するであろう。
なお、村上淳一『ドイツ法入門』によると、上記の考え方は、現在でも、「公役務法」として確立しているようである。
ただし、日本では、現在では、上記の考えはあまりポピュラーではなく、企業の「公共性」などと説明されている。
現に、近時の行政法総論の標準的なテキストでは、「公営造物」という分野が取り上げられているが、「公企業」という項目は独立して取り上げられていない。
日本の国家賠償法では「公の営造物」といえば、物的施設+公務員の故意・過失ある不法行為という形式にも整理できる。
本書執筆当時、日本国有鉄道(→JR)、日本電信電話(→NTT)、国際電信電話(→KDDI)、日本放送協会(NHK)、日本航空(JAL)、専売公社、融資・与信を行う各種の公庫などが存在した。
電気、ガス、上下水道、郵便、運送(鉄道、海上輸送、航空)、無線電波放送(ラジオ、テレビ)、専売(塩、たばこ)、郵便など、国家が独占する特許企業と考えられる性質の事業はある。
このように、性質が異なる多種多様な分野があり、ひとくくりにして考察するのが難しい。
また、必ずしも国家独占事業とはいえない(他の民間事業者が存在する)分野が多い。
しかし、現在では、おおむね特殊な法人(政府が全部または一部の株主・出資)、民営化、株式会社、または独立行政法人という形式になっている。
ただし、本書のように「公企業法」という統一的に考察した書籍は、田中二郎『行政法・下』以外には、類書がなく、本書のような考え方が基礎となっているようである。
もっとも、例えば、別の著者による「信用保証協会論」「銀行法」「保険業法」「独立行政法人法」のような、個別の分野における業績は存在する。
なお、前記のような事業が国公営企業の場合には、検討する必要がある外国もあろう。例えば、国民の大多数が公務員であるギリシャ、社会主義国など。
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第1編 公企業総論
序章 行政法上の公企業と本稿の目的
第1章 公企業概念の構成と収益性
第2章 特許企業
電気、ガス、上下水道、郵便、運送(鉄道、海上輸送、航空)、無線電波放送(ラジオ、テレビ)、専売(塩、たばこ)など、国家が独占する特許企業と考えられる性質の事業はある。
第2編 公企業法各論
第1章 公企業組織法