吉野 夏己『紛争類型別 行政救済法』 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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吉野 夏己『紛争類型別 行政救済法』
成文堂、2012年、本文約530ページ。
章ごとに、第1節として個別の行政法の簡潔な解説があり、第2節として設例がついている。
行政事件訴訟法改正前の裁判例について、改正後であれば、どのように考えるべかまで検討している本である。
なお、行政事件訴訟法改正前の学説を引用している部分は、現行の行政事件訴訟法の解釈としては、間違いになる。
ただし、改正行政事件訴訟法で改正・新設された訴訟類型(不作為違法確認、義務付け、差止め)、仮の義務付け、仮の差止めに関しては、論述が若干不足しているようである。
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第1章 租税関係訴訟
(租税法は既に学習済みのため省略)
第2章 公用負担
第1節 公用負担法関係の基本構造
1 都市計画法
2 公用権利変換
 土地区画整理法、都市再開発法、土地改良法
3 土地収用法
4 建築基準法
第2節 設例
2-1 都市計画法の用途地域の指定の処分性
2-2 行政機関の同意(行政機関が別の行政機関に対する同意)
2-2-1 都市計画法の開発許可についての公共施設管理者の同意の処分性・争い方
2-2-2 建築基準法の建築確認についての「消防署長の同意」の処分性・争い方
2-8 建築基準法2項道路と処分性
2-9 建築確認申請の受理の許否・留保・返戻の適法性
第3章 公共施設の利用関係 
第1節 公物と公の施設(公共施設)
第2節 設例
3-1 公物の時効取得
3-2 道路と妨害排除請求
3-3 はみ出し自動販売機の撤去
3-4,5 保育所の利用関係、廃止
3-6 公営住宅の利用関係
 公営住宅に民法・借地借家法の適用があるか、それとも行政上の公物として私法の適用が排除されるか。
行政法も私法も適用される(重畳的肯定説)。
3-7 公用財産の目的外使用許可の取消と補償
3-8 公の施設の利用関係
第4章 社会保障関係訴訟
第1節 社会保障法の概要
年金保険制度
労働者災害補償保険法
児童扶養手当
生活保護法
第2節 社会保障法の制度
4-1 児童扶養手当
4-3 障害者年金の取消
4-4 労災就学援護支給決定
4-4 労災就学援護不支給決定
(1)処分性、取消訴訟
(2)最高裁判例
4-5 生活保護の打ち切り・減額
4-6 学生無年金と立法不作為
第5章 三面関係訴訟
第1節 三面関係訴訟の構造
環境法訴訟事件、消費者被害訴訟事件
第2節 原告適格、差止請求訴訟、国家賠償法、規制権限の不行使
5-1,2 都市計画法の認可と原告適格
都市計画法の認可、鉄道事業認可、建築基準法
5-3 産業廃棄物処理施設
5-4 風俗営業許可と第三者の原告適格
5-5 鉄道運賃についての鉄道利用者の原告適格
5-6 地方公共団体の原告適格
5-8 銃刀法の警察許可
5-9 道路工事の差止め
5-7,10 規制権限の不行使と国家賠償法、義務付け訴訟
第3節 規制権限の不行使(国家賠償法)
補論(1) 差止訴訟の要件を満たすか。
  (2) 規制措置の義務付け訴訟
  (3) 情報公開請求 
第7章 行政上の強制
第2節 公表
7-1 指名競争入札における指名停止の公表
 競争入札・公共工事などの契約の法的性質について、判例は公法上の契約と解しており、取消訴訟・不作為違法確認訴訟事件の対象となるかについては結論が分かれているが、国家賠償法の適用を認めている。
論者は、私法契約であるとし、国家賠償法の適用を認めないようである。
第10章 地方自治法
第1節 地方自治の制度
補論 行政法の考え方
第1節 行政法の体系
第2節 法律による行政の原理
1 法律による行政
2 法治主義と法の支配