第三節 登録料
(登録料)
第三十一条 実用新案権の設定の登録を受ける者又は実用新案権者は、登録料として、実用新案権の設定の登録の日から第十五条に規定する存続期間の満了の日までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。
各年の区分 金額
第一年から第三年まで 毎年二千百円に一請求項につき百円を加えた額
第四年から第六年まで 毎年六千百円に一請求項につき三百円を加えた額
第七年から第十年まで 毎年一万八千百円に一請求項につき九百円を加えた額
2 前項の規定は、国に属する実用新案権には、適用しない。
3 第一項の登録料は、実用新案権が国又は第三十二条の二の規定若しくは他の法令の規定による登録料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する登録料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第一項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
(登録料の納付期限)
第三十二条 前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に(第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更又は第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項 の規定による出願の分割があつた場合にあつては、その出願の変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第四年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
3 特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間を延長することができる。
(登録料の減免又は猶予)
第三十二条の二 特許庁長官は、第三十一条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料を納付すべき者がその実用新案登録出願に係る考案の考案者又はその相続人である場合において貧困により登録料を納付する資力がないと認めるときは、政令で定めるところにより、登録料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
(登録料の追納)
第三十三条 実用新案権者は、第三十二条第二項に規定する期間又は前条の規定による納付の猶予後の期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
2 前項の規定により登録料を追納する実用新案権者は、第三十一条第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
3 前項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
4 実用新案権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に第三十一条第一項の規定による第四年以後の各年分の登録料及び第二項の割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、第三十二条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
5 実用新案権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に前条の規定により納付が猶予された登録料及び第二項の割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
(登録料の追納による実用新案権の回復)
第三十三条の二 前条第四項の規定により消滅したものとみなされた実用新案権又は同条第五項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた実用新案権の原実用新案権者は、同条第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に同条第四項又は第五項に規定する登録料及び割増登録料を納付することができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内でその期間の経過後一年以内に限り、その登録料及び割増登録料を追納することができる。
2 前項の規定による登録料及び割増登録料の追納があつたときは、その実用新案権は、第三十二条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。
(回復した実用新案権の効力の制限)
第三十三条の三 前条第二項の規定により実用新案権が回復したときは、その実用新案権の効力は、第三十三条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後実用新案権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において製造し、若しくは取得した当該登録実用新案に係る物品には、及ばない。
2 前条第二項の規定により回復した実用新案権の効力は、第三十三条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後実用新案権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該考案の実施
二 当該登録実用新案に係る物品の製造に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三 当該登録実用新案に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為
(既納の登録料の返還)
第三十四条 既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
一 過誤納の登録料
二 実用新案登録出願を却下すべき旨の処分が確定した場合の登録料
三 実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の登録料
四 実用新案権の存続期間の満了の日の属する年の翌年以後の各年分の登録料
2 前項の規定による登録料の返還は、同項第一号の登録料については納付した日から一年、同項第二号又は第三号の登録料についてはそれぞれ処分又は審決が確定した日から六月、同項第四号の登録料については実用新案権の設定の登録があつた日から一年を経過した後は、請求することができない。
第三十五条 削除
(特許法 の準用)
第三十六条 特許法第百十条 (利害関係人による特許料の納付)の規定は、登録料について準用する。
第五章 審判
(実用新案登録無効審判)
第三十七条 実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録を無効にすることについて実用新案登録無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
一 その実用新案登録が第二条の二第二項に規定する要件を満たしていない補正をした実用新案登録出願に対してされたとき。
二 その実用新案登録が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条 、第三条、第三条の二、第四条、第七条第一項から第三項まで若しくは第六項又は第十一条第一項において準用する同法第三十八条 の規定に違反してされたとき(その実用新案登録が第十一条第一項において準用する同法第三十八条 の規定に違反してされた場合にあつては、第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
三 その実用新案登録が条約に違反してされたとき。
四 その実用新案登録が第五条第四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたとき。
五 その実用新案登録がその考案について実用新案登録を受ける権利を有しない者の実用新案登録出願に対してされたとき(第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
六 実用新案登録がされた後において、その実用新案権者が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条 の規定により実用新案権を享有することができない者になつたとき、又はその実用新案登録が条約に違反することとなつたとき。
七 その実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正が第十四条の二第二項から第四項までの規定に違反してされたとき。
2 実用新案登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、実用新案登録が前項第二号に該当すること(その実用新案登録が第十一条第一項において準用する特許法第三十八条 の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第五号に該当することを理由とするものは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
3 実用新案登録無効審判は、実用新案権の消滅後においても、請求することができる。
4 審判長は、実用新案登録無効審判の請求があつたときは、その旨を当該実用新案権についての専用実施権者その他その実用新案登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
(審判請求の方式)
第三十八条 審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 審判事件の表示
三 請求の趣旨及びその理由
2 前項第三号に掲げる請求の理由は、実用新案登録を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。
(審判請求書の補正)
第三十八条の二 前条第一項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、次項の規定による審判長の許可があつたときは、この限りでない。
2 審判長は、前条第一項第三号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
一 第十四条の二第一項の訂正があり、その訂正により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
二 前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。
3 前項の補正の許可は、その補正に係る手続補正書が次条第一項の規定による請求書の副本の送達の前に提出されたときは、これをすることができない。
4 第二項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(答弁書の提出等)
第三十九条 審判長は、審判の請求があつたときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
2 審判長は、前条第二項の規定により請求書の補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。
3 審判長は、第一項若しくは前項本文の答弁書を受理したとき、又は実用新案登録無効審判が特許庁に係属している場合において第十四条の二第一項若しくは第七項の訂正があつたときは、その副本を請求人に送達しなければならない。
4 審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。
5 審判長は、実用新案登録無効審判の請求があつた場合において、その請求後にその実用新案登録に基づいて特許法第四十六条の二第一項 の規定による特許出願がされたときは、その旨を請求人及び参加人に通知しなければならない。
(審判の請求の取下げ)
第三十九条の二 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判の請求は、前条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 審判の請求人が前条第五項の規定による通知を受けたときは、前項の規定にかかわらず、その通知を受けた日から三十日以内に限り、その審判の請求を取り下げることができる。
4 特許法第四条 の規定は、前項に規定する期間に準用する。この場合において、同条 中「特許庁長官」とあるのは、「審判長」と読み替えるものとする。
5 審判の請求人がその責めに帰することができない理由により第三項に規定する期間内にその請求を取り下げることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求を取り下げることができる。
6 二以上の請求項に係る実用新案登録の二以上の請求項について実用新案登録無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
(訴訟との関係)
第四十条 審判において必要があると認めるときは、他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3 裁判所は、実用新案権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その実用新案権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
5 裁判所は、前項の規定によりその実用新案権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第三十条において準用する特許法第百四条の三第一項 の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
6 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。
(特許法 の準用)
第四十一条 特許法第百二十五条 、第百三十二条から第百三十三条の二まで、第百三十五条から第百五十四条まで、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条、第百六十七条の二、第百六十九条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第百七十条の規定は、審判に準用する。この場合において、同法第百五十六条第一項 中「特許無効審判以外の審判においては、事件が」とあるのは、「事件が」と読み替えるものとする。